半世紀の重みと熟成実感 「宇宙戦艦ヤマト」テレビ版最新作

 かつて日本アニメ史を根底から変革した「宇宙戦艦ヤマト」は、1974年のテレビシリーズが初出だった。その50周年にあたる今年、「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」(BS11など、2021~22年に劇場公開済み)がテレビ版として放送されている。

(c)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会)「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」より
(c)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会)「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」より

 12年の「宇宙戦艦ヤマト2199」でリブート(再創作)されたシリーズの最新作だ。旧作にちりばめられた要素を深く読み込み、最新のビジュアル技術と人間味を掘り下げたドラマ構成により、新旧ファン双方が楽しめる工夫を凝らし、関心を集め続けている。
 作品自体が歳月を重ねて厚みを増したのと同様に、作中人物も年をとって年齢なりに変わるプロセスは、大きな見どころだ。例えば1作目で敵対していた星間国家ガミラスとデスラー総統は、地球側と講和するに至った。遺恨が消えてなくなるわけでないにせよ、明日に向けてどう行動するか、それを重視している。
 「2205」は新世代クルーを迎え、さらなる転機を全8話で描いていく。前作「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」で人類の繁栄を犠牲にしたヤマトと古代進、森雪たち。その重い十字架を背負った上に、先達として若者を導く責任も重なってくる。
 謎の新勢力デザリアムがガミラス星を襲撃し、星ごと消滅させてしまったことから、情勢は新たな局面を迎える。宇宙を放浪するイスカンダル星と避難民救助のため、ガミラスと地球が共闘する展開は、未来を担う若い視聴者に、大きな希望を示すものとなるはずだ。
 物語は今年7月に劇場公開される「ヤマトよ永遠に REBEL3199」へと続く。敵は「千年後」から来るのか? 意味深なタイトルへ橋渡しする「2205」の物語は、ヤマト半世紀の歴史、その重みと熟成を実感させるものとなるに違いない。
 (氷川竜介・アニメ研究家)

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