【地震の活動期】専門家「まだ続く、警戒を」 相次ぐ災害、9世紀と酷似

 1月の能登半島地震以降、各地で強い地震が続いている。専門家が注目するのは平安時代の9世紀。三陸沖と南海トラフで巨大地震が迫る中、内陸地震や噴火が頻発した状況は現代とよく似ており、「活動期は次の南海トラフ地震まで続く。警戒を」と呼びかけている。
佐渡島で確認された9世紀の津波堆積物(白線で挟まれた部分)=2012年5月、新潟県佐渡市(卜部厚志新潟大教授提供)9世紀と現代に起きた主な大地震
 日本列島は1995年の阪神大震災以来、地震の活動期に入ったとされる。震度5弱以上は2022年に計13回、23年は8回だったが、今年は4月末で23回とハイペースで発生。4月17日に南海トラフ地震の想定震源域の豊後水道で震度6弱が観測されると、関係者に緊張が走った。
 南海トラフ地震は約100~200年間隔で繰り返し、最古の記録は684年の白鳳地震。次が887年の仁和地震で、869年には三陸沖の日本海溝でも貞観地震と巨大津波が起きた。
発掘された9世紀の地割れ跡。白い地層が割れ目に落ち込んでいる=1993年、新潟県長岡市の八幡林遺跡(寒川旭氏提供)9世紀と現代の地震
 地震考古学者の寒川旭さんは全国の遺跡に残る災害の痕跡を丹念に調べ、文献と照合。時期や地域を分析してきた。
 「太平洋側で巨大地震が起きる約50年前から、列島は活動期に入る。貞観地震の前は主に東日本、仁和地震が迫ると西日本の内陸で地震や火山活動が増えた。東日本大震災の後、次の南海トラフ地震が近づく現代も各地で地震が続いており、今後、どこで起きてもおかしくない」と警告する。
 文献によると、818年に北関東が大きく揺れ、出羽(秋田、山形)、越中(富山)や越後(新潟)、播磨(兵庫)、出雲(島根)、肥後(熊本)などで地震が起きた。
 現代も新潟地震(1964年)や阪神大震災、鳥取県西部地震(2000年)、熊本地震(16年)が発生。震源域は9世紀と重なって見える。
 内陸型地震としては最大級の能登半島地震(マグニチュード7・6)に匹敵する規模だったとみられるのが、863年の越中・越後地震だ。

 国の正史「日本三代実録」は、被害のすさまじさを「山は崩れ谷は埋まり、水が湧き、民家は破壊、多くの人々が圧死した」と伝える。家々が壊れ、土砂崩れや液状化が広がる状況は、能登半島地震そっくりだ。 
 この地震が原因とみられる地割れや地滑り、激しい液状化の跡が八幡林遺跡(新潟県長岡市)などで多数発掘され、同県の佐渡島西岸では津波堆積物も確認された。同時発生かどうかは不明だが、陸と海で複数の活断層が動いたようだ。
 津波堆積物を調査した新潟大災害・復興科学研究所の卜部厚志教授(地質学)は「9世紀の水田跡にこぶし大の海石がごろごろと入っており、佐渡島西方の海底断層が活動した可能性が高い。災害は同じような場所で繰り返す。自分が住む土地で過去にどんな地震や津波が起きたのかを知り、命を守る方法を考えておいてほしい」と話した。
 

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