【能登半島地震の住宅倒壊】耐震改修、高齢化で停滞 「危険性各地に」警鐘

 能登半島地震では多くの住宅が倒壊した。被害が甚大な石川県珠洲市などは県内でも高齢者が多く、費用負担が足かせとなり耐震改修が進んでいない実態が背景にある。専門家は、耐震化が施されず倒壊の危険が潜む住宅が各地にあると警鐘を鳴らし、国や自治体に手厚い支援を訴えた。

甚大な被害が出た石川県珠洲市宝立町で、倒壊した家屋を調べる消防隊員=4日午前11時
甚大な被害が出た石川県珠洲市宝立町で、倒壊した家屋を調べる消防隊員=4日午前11時
倒壊した石川県珠洲市の建物=4日午前10時1分
倒壊した石川県珠洲市の建物=4日午前10時1分
石川県珠洲市宝立町の倒壊した住宅=4日午前10時39分
石川県珠洲市宝立町の倒壊した住宅=4日午前10時39分
甚大な被害が出た石川県珠洲市宝立町で、倒壊した家屋を調べる消防隊員=4日午前11時
倒壊した石川県珠洲市の建物=4日午前10時1分
石川県珠洲市宝立町の倒壊した住宅=4日午前10時39分

 ▽悪循環
 震度6強を観測した珠洲市では、1階部分が押しつぶされたり、大きく傾いたりした木造住宅が折り重なり「壊滅的」(泉谷満寿裕市長)な状況だ。
 千葉大大学院の林和宏准教授(耐震構造学)は、古い木造住宅は壁が少なく、土を下地に使って屋根瓦を固定している場合は、重さにより揺れに弱くなると指摘。「数年前から繰り返された地震で傷ついたことが影響した可能性もある」と話した。
 耐震化も遅れていた。珠洲市によると、市内の約6千戸の住宅のうち2018年度末の耐震化率は51%。輪島市は19年末で45・2%と、この時期の全国平均87%より著しく低い。
 共通するのは地域の高齢化だ。石川県の統計では、65歳以上の高齢化率(20年時点)は珠洲市が51・7%と県内で最も高い。同じく被災地の能登町、穴水町、輪島市も50%前後。県平均の30・0%を大きく上回る。
 耐震化の旗を振る国土交通省の幹部は「いつまで住み続けるか分からない住宅に、多額の費用をかけて改修する高齢者は少ない。耐震化が必要な古い住宅ほど対策が手付かずになる悪循環がある」と説明する。
 ▽喫緊の課題
 建築基準法の耐震基準は、1978年の宮城県沖地震の建物被害を受け、81年に厳格化。「震度6強以上でも倒壊しない構造」を求めている。それ以前の基準に沿った「旧耐震」の住宅は阪神大震災や熊本地震で倒壊が相次ぎ、政府は「耐震化は喫緊の課題」と位置付けてきた。
 「2030年までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消する」との目標の下、政府は自治体と連携して支援してきた。政府関係者は「耐震化を義務付けられればいいが、住宅は個人の資産なので費用は所有者の負担となる。補助金で一部を賄い、対策を促すしかない」と打ち明ける。
 近年は全国的に空き家が増え、旧耐震の物件も少なくない。南海トラフ巨大地震や首都直下地震の発生も切迫する中、危険な状態のまま放置すれば倒壊して近隣住宅を巻き込んだり、道路をふさいだりして被害拡大を招きかねない。
 東京大の広井悠教授(都市防災)は、高齢者が多く、耐震化が進まない地域は全国にあると指摘する。「住宅の一部を簡易的に補強し、逃げ込むスペースを確保するような耐震改修に対し、国や自治体が支援を拡充するべきだ」と提言した。

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