訪日客 “主役”中国人は戻らず 他国からの誘客模索

 10月の訪日客数が円安を追い風に、新型コロナウイルス禍前の2019年水準を初めて超えた。しかし“主役”だった中国人客数は完全には戻っておらず、国内の観光地は手放しで喜べないのが実情。航空直行便の再開を待ちわびながら、他国からの誘客も模索する。

鳥取砂丘を訪れた外国人観光客ら=13日、鳥取市
鳥取砂丘を訪れた外国人観光客ら=13日、鳥取市

就航1カ月で…  14日、三重県鳥羽市の「ミキモト真珠島」。真珠養殖の発祥地にある観光施設で、海女が潜る様子をポーランドや米国からの客が見学していた。
 欧米などからの客はコロナ禍前と比べ増えたが、中国人ツアー客は見当たらない。高価な土産を買ってくれていただけに石川慎吾営業部長は「東京電力福島第1原発の処理水問題などもあり訪日しづらいのだろうか」とこぼした。
 鳥取県の米子空港では中国・上海との定期便が20年1月に就航した。しかし、コロナ禍に伴い1カ月で中断。現在も再開していない。県国際観光・万博課で中国からの誘客を担当する吾郷章次主事は「定期便が再開しない限りは難しい。春ごろの再開に向け航空、旅行会社への働きかけを続ける」と力を込めた。
 鳥取砂丘では以前に比べ欧米系やイスラム教徒の訪日客が目立つという。ドライブイン「砂丘会館」の山根智営業課長は「政治的な問題で急に旅行者が減ることがある。特定の国に頼らないようにしている」。
英国でセールス  航空業界の分析をしている中国のウェブサイトによると、国慶節(建国記念日)に伴う9月末~10月初旬の連休期間に中国から日本に向かった航空便数は19年水準の約半分だった。韓国やシンガポールは7~8割。日中双方の水際対策が長引き、往来の回復が遅れているのが原因とみられる。
 高松空港(香川県)では上海線がコロナ明けの今年9月末に再開したが、約2週間で再び運休になった。発表は原発処理水の海洋放出開始後だった。春秋航空は「事業計画の変更」と説明している。
 25年の大阪・関西万博を見据え、四国は富裕層誘客を官民一体で推進する。香川県国際観光推進室の藤崎健治室長は「上海線の早期再開は重要だ」と強調。一方で「四国ツーリズム創造機構」が10月に英国でのセールス拠点を新設したことを踏まえ「連携し欧米に働きかけたい」と付言した。
 日本総研の高坂晶子主任研究員は「中国人に偏りすぎていたのを他国に分散するのは観光政策としても重要。自分たちの地域にどの国からの客が多いか分析し、その国の事情に通じた人材の育成が必要だ。その上で食材の制約や礼拝スペースなど宗教や生活習慣に配慮する取り組みも求められる」と指摘した。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞