G7男女相会合 女性活躍、地方企業が鍵 格差是正し経済的自立へ【大型サイド】
栃木県日光市で開催された先進7カ国(G7)男女共同参画・女性活躍担当相会合では「女性の経済的自立」がテーマの一つとなった。だが、開催国の日本では企業役員の女性比率がG7で最も低く、賃金のジェンダー格差は深刻だ。労働人口が減る中、経済成長の維持にも女性の力が不可欠。鍵となるのは、地方、中小企業の取り組みだと専門家は指摘する。

兵庫県豊岡市にある社員約200人のかばんメーカー「由利」。由利昇三郎社長(58)は「女性の離職が減り、生産性は向上した」と語る。2017年から働き方改革を進め、会議を減らすなどした結果、社員の1カ月の平均残業はわずか2時間に。育児や介護中の人が入社する際、1日最短3時間の勤務を認める制度などを導入し、家庭との両立を支援した。
今では、製造ラインの班長などリーダー格の半数以上が女性だ。「育休などで一時離れても、経験を積んで技術のある人に残ってほしい。良い物作りができれば海外にも負けない」と由利社長。若者が減っている地方では、人材確保と活躍支援が重要だと強調する。
同社のように、女性を積極的に登用して活気づく企業も増えたが、まだ一部に過ぎない。世界経済フォーラムが発表した23年版の「男女格差(ジェンダー・ギャップ)報告」で、日本の経済分野は123位とG7で最下位。内閣府によると、日本を除くG7では企業の女性役員比率が平均38・8%だが、日本は14・9%と遠く及ばない。
役員比率は賃金に表れる。経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本のフルタイム勤務の女性は男性より約20%賃金が少なく、OECD平均を約10ポイント下回る。
コンサルタント会社「Will Lab」社長で、女性の雇用創出に取り組む小安美和さんは「ジェンダーによる役割分担意識の根強さが根底にある」と分析。家事や育児の負担が女性に偏るため、離職したり低賃金の非正規雇用になったりするケースが多いという。
「女性は出世を望まない」などの偏見が登用を阻み、その結果、女性が経験不足となってスキルに自信を持てず、昇進をちゅうちょするのではないかとみる。
小安さんは、女性活躍を促す大企業は都市部に偏り、地方には取り組みの遅れがちな中小企業が多いと指摘。大企業だけでなく、地方の中小企業と自治体が連携して働きやすい環境を整えていけば「経済のジェンダー平等が実現に近づくだろう」と話している。