高速実験炉「常陽」を公開 2025年の再稼働目指す

 日本原子力研究開発機構は22日、茨城県大洗町にある高速実験炉「常陽」の原子炉格納容器内部を報道陣に公開した。国内唯一の高速炉で、2025年3月の再稼働を目指している。高速炉の実用化に向けた研究開発に活用するほか、がん治療などに使う放射性医薬品を製造する計画もある。

高速実験炉「常陽」の原子炉格納容器内部=22日午前、茨城県大洗町
高速実験炉「常陽」の原子炉格納容器内部=22日午前、茨城県大洗町

 高速炉は、高速中性子を核分裂に利用する原子炉。冷却材に使う液体ナトリウムは水と激しく反応して火災が起きやすく、取り扱いが難しい。担当者は現地で、ナトリウムが流れる配管の耐震補強の方針を説明した。
 常陽は廃炉になった高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の前段階に位置付けられる研究施設で、発電はしない。長期間使用できる核燃料の開発や、高レベル放射性廃棄物を減らす実験に使う。再稼働に向けた耐震補強や火災対策などの安全対策費は約207億円を見込む。
 常陽は1977年に初臨界。原子炉内の装置トラブルで07年以降停止している。今年5月、再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査に事実上合格した。

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