尾身氏、コロナ5類移行後に警鐘 「まだ普通の病気ではない」

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長(73)は2日、共同通信のインタビューに応じ、感染症法上の位置付けの5類移行に「社会を動かす時期に来ているとの考えには賛成だ」と理解を示す一方、高い感染力があることから「まだ完全に普通の病気にはなっていない」と指摘した。今後の感染症対策に生かすため、政府対応を徹底的に検証する必要性も強調した。

インタビューに応じる新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長
インタビューに応じる新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長

 尾身氏は、2020年の感染拡大当初から3年超にわたり、専門家の取りまとめ役として政府に助言してきた。「将来、歴史の審判に堪えられるようにと考えてきた」と振り返った。
 「法律で人々の行動を縛ったり、感染者をすぐ隔離したりする時期は、もう過ぎつつある」。昨年春ごろから対策の段階的な緩和を意識していたという。
 一方で、高い感染力や変異の予測ができない点を警戒。致死率は低下したものの感染力は増し、流行のたびに死者は増える傾向にある。「5類になったからといって感染者がすぐにゼロになることはない」と訴え、政府に感染動向を素早く捉える仕組みや、感染者の急増に対応できる医療体制の構築を求めた。
 これまでの対応は「課題はあったが、状況に応じて対策を適宜修正したことなどもあって、欧米に比べて死者数は少ない」と評価。ただ新たな感染症に対し、検査体制や保健所、医療機関などの準備が不足していたと指摘した。
 情報発信を巡り政府と専門家の役割分担があいまいだったとして「専門家の提言を受け、政府が最終的に判断する。提言と異なる判断をしたときに、なぜそうしたのかを説明するのが政府の役目。説明がないと国民は誰が決定しているか分からない」と話した。
 次の感染症に備え、新型コロナ対応に関する政治家の発言、専門家の提言、実際の政策などの検証が必須と主張。「短期間で終わるのではなく、残された記録を基に、じっくりと分析する必要がある」と語った。

 新型コロナウイルス感染症を巡る経過は次の通り。
 2020年1月15日 国内初の感染者を確認
 2月1日 感染症法上の「指定感染症」に位置付け
 4月7日 7都府県に初の緊急事態宣言。その後、全国に対象拡大
 7月6日 新型コロナ対策分科会の初会合を開催。尾身茂氏が会長を務める
 21年2月13日 「新型インフルエンザ等感染症」に位置付け
 17日 医療従事者にワクチン先行接種開始
 22年9月20日 オミクロン株に対応する新ワクチンの接種開始
 9月26日 感染者の全数把握を全国一律で簡略化
 23年1月27日 政府が感染症法上の位置付けを「5類」に引き下げると正式決定
 5月8日 5類移行へ

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