改憲機運は高まらず71% 同性婚71%容認、憲法世論調査

 共同通信社は1日、憲法記念日の5月3日を前に憲法に関する郵送方式の世論調査結果をまとめた。岸田文雄首相が自民党総裁任期中に意欲を示す憲法改正の機運に関し、国民の間で「高まっていない」が「どちらかといえば」を含め計71%に上った。国会での改憲議論を「急ぐ必要がある」は49%、「急ぐ必要はない」は48%で賛否が拮抗した。同性婚は「認める方がよい」が71%で、「認めない方がよい」の26%を大きく上回った。

国会での改憲議論を急ぐべきか、改憲の機運は高まっているか
国会での改憲議論を急ぐべきか、改憲の機運は高まっているか
日本国憲法の公布原本
日本国憲法の公布原本
2022年4月、LGBTQなど性的少数者への理解を広めようと東京・渋谷をパレードする人たち
2022年4月、LGBTQなど性的少数者への理解を広めようと東京・渋谷をパレードする人たち
国会での改憲議論を急ぐべきか、改憲の機運は高まっているか
日本国憲法の公布原本
2022年4月、LGBTQなど性的少数者への理解を広めようと東京・渋谷をパレードする人たち

 改憲機運が「高まっている」は「どちらかといえば」も含め計28%。改憲に前向きな自民や日本維新の会を支持する層でも3割台にとどまる。昨年同時期の郵送調査は「高まっていない」が計70%、「高まっている」は計29%で同水準だった。国会では昨年から衆院憲法審査会のほぼ毎週開催が定着したものの、論議の活発化が必ずしも機運上昇に結びついていない実態が明らかになった。
 改憲の必要性は「どちらかといえば」を含め計72%が肯定し、「必要ない」の計27%と差が開いた。必要とする理由は「条文や内容が時代に合わなくなっている」が59%で最多。必要ない理由は「戦争放棄を掲げ平和が保たれている」の43%が最も多かった。
 改憲に「関心がある」「ある程度関心がある」は計67%。9条改正は「必要」が53%、「必要ない」45%だった。選択的夫婦別姓は「賛成」77%、「反対」22%だった。
 国会で議論してほしい憲法のテーマを三つまで挙げてもらったところ「9条と自衛隊」が38%でトップ。「社会保障などの生存権」32%、「教育」25%と続いた。
 大規模災害などの緊急事態時を巡り、国会議員任期延長を認める改憲については「賛成」77%、「反対」21%となった。個人の権利を制限できる緊急事態条項の新設は「賛成」57%、「反対」39%だった。
 改憲の是非を問う国民投票でインターネットの広告を規制することは「必要」が78%、「必要ない」は20%となった。
 調査は3~4月、全国の18歳以上の男女3千人を対象に実施した。

 憲法9条 日本国憲法の「国民主権」「基本的人権の尊重」に並ぶ三大原則の一つ「平和主義」を規定する条文。1項で戦争の放棄を、2項は戦力の不保持と交戦権の否定を定める。2017年、当時の安倍晋三首相(自民党総裁)は自衛隊が違憲だとする議論を解消するためだとして、1、2項を残したまま自衛隊を明文化する考えを提起した。平和主義は堅持すると主張したが、自衛隊を憲法に書き込めば活動に制約がなくなるとの批判があり、国論を二分する議論に発展した。

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