G7首脳、原爆慰霊碑献花で調整 サミット初日、岸田氏が出迎え

 日本政府は、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)初日の5月19日に、各国首脳で広島市の平和記念公園内にある原爆慰霊碑に献花する方向で調整に入った。岸田文雄首相が平和記念公園で出迎えた後、原爆資料館を視察。平和へのメッセージをそれぞれ記帳し、献花する段取りを想定している。首相が提唱する「核兵器のない世界」実現に向け機運を高めたい考えだ。被爆者との面会や資料館の視察内容は米国と詰めの協議をしている。外交筋が26日明らかにした。

2016年に広島で開かれたG7外相会合に合わせ、原爆慰霊碑に献花したG7外相ら=広島市の平和記念公園
2016年に広島で開かれたG7外相会合に合わせ、原爆慰霊碑に献花したG7外相ら=広島市の平和記念公園

 首相が外相を務めていた2016年にG7外相会合を広島で開いた際に、各国の外相とそろって資料館視察や献花をしたことはあるが、G7首脳では初めて。
 日本政府は、戦争被爆地でのサミットで核軍縮・不拡散を主要議題と位置付けている。ロシアによるウクライナ侵攻や覇権主義的な動きを強める中国への対応など国際政治課題をとりまとめた共同文書とは別に、核軍縮・不拡散への決意を示す文書も発表する方向で調整している。
 関係者によると、サミット初日に資料館訪問や献花の日程を組むことに各国の同意を得た。資料館には、原爆投下前後の広島市の様子や、原爆の脅威、被害実態を伝える写真などが常設展示されているが、どこまで視察し、対外公表するのかは調整が残っている。
 外交筋によると、バイデン米大統領は、現職大統領として初めて広島を訪問したオバマ氏が掲げた「核なき世界」の理念を継承しており、資料館訪問には理解を示しているという。ただ、米国は原爆を投下した当事国のため、国内世論を慎重に見極める必要があるという。
 核軍縮に関する共同文書では、ロシアの核威嚇や中国の核戦力増強を踏まえ、核不使用の歴史継続や威嚇の禁止など国際規範の維持・強化を盛り込む見通しだ。

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