プルサーマル発電、2基中断へ 玄海と伊方、高浜は継続

 通常の原発でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル発電を実施している4基のうち、九州電力玄海3号機(佐賀県)が今年11月、四国電力伊方3号機(愛媛県)が来年7月までの運転で、海外に加工を委託したMOX燃料を使い切り、プルサーマルを中断する見通しとなったことが19日、電力各社の運転計画で分かった。関西電力高浜3、4号機(福井県)は当面、継続できるとしている。

九州電力玄海原発の3号機(右)と4号機=22年11月、佐賀県玄海町
九州電力玄海原発の3号機(右)と4号機=22年11月、佐賀県玄海町

 日本の原子力利用は、使用済み核燃料を全て再処理する「核燃料サイクル」が前提だが、国内の関連施設は稼働の先送りが続き、MOX燃料の加工は海外に依存する。核兵器に転用可能なプルトニウムの大量保有が国際的な懸念を招く中、唯一の消費手段であるプルサーマルの停滞は、核燃料サイクルの脆弱さをあらためて露呈する形になりそうだ。
 今後3年間の見通しとして各社が国に提出した運転計画によると、玄海3号機は11月からの定期検査でMOX燃料4体を、伊方3号機は来年7月からの定期検査で5体を原子炉から取り出し、全て通常のウラン燃料に置き換える。
 電力各社は、使用済み燃料の再処理とMOX燃料への加工を英仏両国に委託してきたが、九電と四電はフランスで保有するプルトニウムを使い切った。英国のMOX加工工場は閉鎖されており、両社は英国で保有するプルトニウムを、他電力がフランスで持つ分と帳簿上で交換し、フランスでMOX加工を続ける方針。玄海での利用は2026年度以降、伊方は28年度以降となる。
 関電は高浜3、4号機で使うMOX燃料32体を20年に追加契約したものの、機器の故障などでフランスの工場での製造が始まっていない。25年度にMOX燃料を炉内に追加する予定で「計画的に製造できるよう調整する」としている。
 11年3月に起きた東京電力福島第1原発事故後に再稼働した原発10基のうち、プルサーマル実施は4基のみ。日本原燃が青森県六ケ所村に建設中の再処理工場は当初97年、MOX加工工場は12年だった完成予定の延期を繰り返している。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ