コロナ5類移行後、原則自己負担 病院名公表は継続、政府決定

 政府は10日、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う医療費の公費支援や医療提供体制の見直し策を決定した。5月8日の移行日から医療費の原則自己負担を求める一方、高額な治療薬代などの公費支援は9月末まで継続。外来での患者受け入れは、季節性インフルエンザを診療する内科や小児科が担い、対応する医療機関数を約1・5倍に増やすことを目指す。対応医療機関名の公表は当面続ける。

記者会見する加藤厚労相=10日午後、厚労省
記者会見する加藤厚労相=10日午後、厚労省

 加藤勝信厚生労働相は10日、記者会見し「行政の関与を前提とした限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による通常の対応に移行していく」と述べた。
 外来・入院の医療費は現在、初診料などを除いて無料。5類移行後も外来では1人当たりの薬価が10万円近い抗ウイルス薬モルヌピラビルなど高額な治療薬は公費支援を継続する。解熱剤といった一般的な薬や検査は自己負担を求める。
 入院費も自己負担が生じるが、毎月の負担額に上限を設ける「高額療養費制度」の対象となり、さらにそこから最大2万円を軽減する。今夏の感染状況を見て支援期間の延長や縮小を判断する。
 現在、外来患者は約4万2千施設の発熱外来で受け入れている。これを内科や小児科など約6万4千施設に増やす。入院患者は、治療実績がある約5千施設(うち重症者向け約3千施設)を中心に受け入れる。将来は全病院計約8千施設での対応を目指す。
 行政が担っていた「入院調整」は、医療機関同士での調整に段階的に切り替える。都道府県は新たな施設で受け入れを進めるための「移行計画」を4月中に作成する。
 外来や入院に対応する医療機関に手厚くしていた診療報酬の特例措置は段階的に縮小、病床確保の補助金も半額にする。高齢患者は介助に人手がかかり、入院が長期化する傾向があるため、リハビリや退院支援が整った「地域包括ケア病棟」などでの積極的な受け入れを促し、新たに診療報酬を加算する。

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