コロナ検査、5類移行で外来負担 高額入院費は9月末まで軽減

 新型コロナウイルス感染症が季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行するのに伴い、政府が検討している医療体制見直し案の全容が判明した。現在は無料となっている検査や陽性判明後の外来診療は、移行日の5月8日から患者に負担を求める。入院費も自己負担を原則とするが、高額になる場合は9月末まで月に最大2万円を軽減。価格の高い治療薬は引き続き無料とする。高齢者の入院先を増やすため、受け入れ医療機関への診療報酬を加算する。関係者が1日、明らかにした。

新型コロナ「5類」移行に伴う医療費負担案
新型コロナ「5類」移行に伴う医療費負担案

 政府は見直し案を10日にも発表。都道府県に医療機関の確保などの「移行計画」を4月中に作成してもらい、平時の医療体制への転換を加速させる。まずは今夏の感染状況を見極め、9月末までの入院費や高額薬の負担軽減について、その後の延長や縮小を判断する。
 新型コロナでは感染者の迅速な隔離、治療につなげるため、検査や医療を公費で賄っている。見直し案では、患者が医療機関で支払う自己負担額を試算。窓口負担3割の人は現在、外来での初診料などに2590円かかるが、移行後は季節性インフルエンザとほぼ同じ最大4170円となる。
 患者の診療は重点医療機関や発熱外来が主に当たっているが、5類移行後は一般の病院や診療所を含めて対応し、入院調整も行政から病院間での実施に切り替えていく。
 政府は現在の発熱外来の1・5倍となる約6万4千の一般医療機関で診療するとともに、入院患者はこれまで治療実績がある約5千の医療機関(軽症と一部の中等症者向けは約2千、重症者向けは約3千)を中心に受け入れを進めたい考えだ。
 オミクロン株が主流となった流行「第6波」以降は、高齢者施設でクラスター(感染者集団)が相次ぎ、病床逼迫の要因になった。高齢患者は介助に人手がかかり、入院が長期化する傾向にあるため、リハビリや退院支援が整った「地域包括ケア病棟」などでの積極的な受け入れを促し、新たに診療報酬を加算する。
 外来や入院に対応する医療機関に手厚くしていた診療報酬の特例措置は段階的に縮小。病床確保の補助金は減額する。

 新型コロナ5類移行 政府は、新型コロナウイルス感染症の法的な位置付けを5月8日に「新型インフルエンザ等感染症」から「5類」へ下げる。入院勧告や、感染者と濃厚接触者に対する外出自粛要請がなくなる。医療提供体制を段階的に見直す。マスク着用は3月13日から、屋内外を問わず原則的に個人が判断。無料ワクチン接種は2023年度も実施する。

あなたの静岡新聞 アプリ