コロナ高額薬、無料継続へ 入院も公費支援案、5類移行後
新型コロナウイルス感染症の5類移行後の医療費を巡り、政府が外来医療での抗ウイルス薬など高額な治療薬の公費支援を当面継続し、患者の支払いを無料とする方向で検討していることが24日、分かった。また急激な負担の増加を避けるため、入院医療費も一定の公費支援を続ける案がある。期間は数カ月から1年程度を想定。今後、関係団体と調整する。

また患者対応をした医療機関への診療報酬も見直す。3月末で期限を迎える「特例加算」は延長せず、その他の特例も5月8日から段階的に縮小する方向だ。
新型コロナの治療薬は、1人当たりの薬価が10万円近い抗ウイルス薬モルヌピラビルなど、高額なものがある。現在は全額公費負担となっており、5類移行後も一定の期間継続する。一方、解熱剤といった一般的な治療薬や検査は、自己負担を求める方向で検討する。
現在、無料となっている入院費用は、毎月の負担額に上限を設ける「高額療養費制度」の支給対象となる見込み。一部自己負担が生じるが、公費支援により軽減を図る。
厚生労働省の感染症部会は1月「外来、入院の自己負担分の公費支援は、影響を緩和するための措置によって段階的に移行すべきだ」と指摘。高額な医療費への懸念や、他の病気との公平性を考慮すべきだとの意見が出ていた。
5類移行後の入院医療体制では、昨年夏の流行「第7波」時点では全国に約2千施設ある重点医療機関を中心に約5万1千床だったが、移行期間中はより幅広い病院で受け入れつつ、コロナ患者用の「コロナ病床」は縮小し、全体で約4万6千床とする。移行期間後にコロナ病床は廃止され、全病院での受け入れを目指す。
外来対応をしていた医療機関は昨夏で約4万2千施設。これらの施設には引き続き協力を要請しつつ、さらに拡大する。一方で、診療報酬の特例は段階的に減らす方向。その後、季節性インフルエンザを診療している約6万4千施設での対応を考えている。
新型コロナの5類移行 新型コロナウイルス感染症の法的な位置付けについて、政府は5月8日に現在の「新型インフルエンザ等感染症」から「5類」に移行する。緊急事態宣言は出せなくなり、入院勧告や感染者と濃厚接触者への外出自粛要請もなくなる。政府は移行に伴い医療提供体制を段階的に見直す方針で、3月上旬をめどに具体像を示すとしている。マスクの着用は3月13日から屋内外を問わず、原則的に個人の判断に委ねる。無料のワクチン接種は2023年度も実施する。