植田総裁、14日に国会提示 日銀人事、経済学者出身

 政府は14日、日銀総裁に元日銀審議委員の経済学者、植田和男氏(71)を起用する人事案を国会に提示する。4月8日に任期が満了する黒田東彦総裁(78)の後任で、学者出身の日銀総裁は戦後初めて。植田氏は過去にゼロ金利政策の解除に反対し、直近では「当面は金融緩和を続ける必要がある」と述べている。副作用の目立つ大規模金融緩和策への対応に注目が集まる。

植田和男氏
植田和男氏

 植田氏は10日夜、記者団の取材に「現在の日銀の金融政策は適当だ」との見方を示し、金融市場では、日銀が新体制で緩和縮小を急ぐとの観測が和らいだ。
 1998年4月の審議委員就任に当たっての記者会見では「デフレの傾向が出る危険な状況」との認識を表明した。2000年8月の金融政策決定会合では、ゼロ金利解除に関し「株式市場の動向などについてもう少し見極めてもよろしいのではないか」と反対した。
 ただ大規模緩和を無条件で評価しているわけではない。日本証券アナリスト協会機関誌の16年10月号への寄稿で「当初は政策の有効性に対する外国人投資家の『思い込み』もあって予想を上回る円安・株高が発生したものの、その実体経済への波及は(中略)限定的」と分析している。マイナス金利政策は「金融機関には厳しい政策変更となった」と指摘した。
 植田氏と副総裁候補の氷見野良三前金融庁長官(62)、内田真一日銀理事(60)の3人は今月24日以降に国会で所信を表明する方向だ。国内外の投資家の関心は高い。3月上旬から中旬には衆参本会議で人事案が可決される見通し。

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