中国の偵察気球、日本も標的か 飛行40カ国超、通信傍受機器

 【ワシントン共同】米国務省高官は9日、米上空を飛行した中国の偵察気球の写真を分析した結果、複数のアンテナなど通信傍受機器が搭載されていたと明らかにした。中国がこれまでに五大陸の40カ国超の上空に偵察気球を飛ばしていたと指摘。中国人民解放軍と直接関係がある企業が製造していたとの分析も示した。偵察気球に関する情報の一部を機密解除して公表した。

2020年6月、仙台市の上空で目撃された風船のような白い球体
2020年6月、仙台市の上空で目撃された風船のような白い球体
回収した中国の気球の一部を処理する米連邦捜査局(FBI)捜査員。FBIが9日公表した(ロイター=共同)
回収した中国の気球の一部を処理する米連邦捜査局(FBI)捜査員。FBIが9日公表した(ロイター=共同)
2020年6月、仙台市の上空で目撃された風船のような白い球体
回収した中国の気球の一部を処理する米連邦捜査局(FBI)捜査員。FBIが9日公表した(ロイター=共同)

 ワシントン・ポスト紙は当局者の話として、中国が日本や台湾、インドなどで気球を使った偵察を続けてきたと報道。国務省高官は、気球が飛来した国々と連絡を取り合っていると強調した。
 ホワイトハウスのジャンピエール報道官は9日、記者団に対し、人民解放軍の関係企業に加え、中国政府に対する措置も検討すると表明。米国や同盟国の安全保障を脅かす中国の大規模な偵察活動を暴露する取り組みを強化する考えも示した。
 国務省高官は、米軍偵察機U2を飛ばして撮影した気球の写真を分析したと説明。通信傍受機器の搭載は、民間の気象研究用だとする中国側の説明と「矛盾する」と指摘した。太陽光パネルも搭載しており、情報収集用のセンサーなどを継続的に使えるようにしていたとの認識も示した。
 米軍は4日、南部サウスカロライナ州沖で偵察気球を撃墜した。シャーマン国務副長官は9日、上院外交委員会の公聴会で撃墜の正当性を改めて強調。「中国に対し、米国や他の国々の主権侵害は容認できないと明確に示していく」と訴えた。
 米国内では中国への反発が強まっている。下院は9日、偵察気球の飛行を「あからさまな主権侵害だ」と非難する決議案を全会一致で可決した。

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