トランプ氏大統領選始動 慎重な船出、求心力陰り 有力者ら存在感、混沌も

 米共和党のトランプ前大統領(76)が28日、2024年大統領選へ動き出した。得意の大規模集会は鳴りを潜め、慎重な船出に求心力の陰りがにじむ。出馬をうかがう党有力者も存在感を高めており、候補指名争いは混沌としている。

28日、米南部サウスカロライナ州の会合で演説するトランプ前大統領(AP=共同)
28日、米南部サウスカロライナ州の会合で演説するトランプ前大統領(AP=共同)
28日、米南部サウスカロライナ州の会合で演説するトランプ前大統領(AP=共同)
28日、米南部サウスカロライナ州の会合で演説するトランプ前大統領(AP=共同)
トランプ氏と共和党有力者
トランプ氏と共和党有力者
28日、米南部サウスカロライナ州の会合で演説するトランプ前大統領(AP=共同)
28日、米南部サウスカロライナ州の会合で演説するトランプ前大統領(AP=共同)
トランプ氏と共和党有力者


見えぬ熱気
 「私のことを『衰えた』という者がいるが、怒りとやる気に満ちている」。トランプ氏は東部ニューハンプシャー州での演説で、昨年11月の出馬表明後、目立った活動をしてこなかったことに対する懸念払拭を図った。
 過去には巨大アリーナや屋外で数千人を動員し、岩盤支持層を見せつけて政敵を追い落としてきたトランプ氏。しかし、演説会場は高校の講堂。続いて南部サウスカロライナ州で開いたイベントも地元選対本部の陣容を発表する内容で、熱気不足は否めない。
 大口献金者からの支援獲得にも苦労しているとされ、地味な滑り出しの背景の一つには資金面の懸念がありそうだ。
 苦戦ぶりは世論にも現れ、ニューハンプシャー大によると、ニューハンプシャー州での共和党予備選を想定した調査では、台頭する南部フロリダ州のデサンティス知事(44)が42%の支持を得てトランプ氏の30%を大きく上回った。
 サウスカロライナ州での発表会でトランプ氏は州知事らを従えて登壇、影響力を誇示した。だが、大統領選出馬に意欲を見せる前州知事で女性のヘイリー元国連大使(51)、同州選出で黒人のスコット上院議員(57)の姿はなかった。

つばぜり合い
 トランプ氏は、機密文書の私邸への持ち出し問題で捜査を受けていることが懸念材料。だが民主党のバイデン大統領(80)、共和党から出馬検討中のペンス前副大統領(63)にも同様の問題が発覚し、トランプ氏への「最高の贈り物」(米メディア)と指摘された。
 ペンス氏は27日の講演で、機密文書の持ち出しについて「責任は私にある」と全面的に非を認め、捜査に抵抗するトランプ氏との違いをアピール。デサンティス氏も27日実施された共和党全国委員長の選挙を巡り「変革が必要だ」と述べ、トランプ氏を支えてきた現職委員長をけん制した。出馬表明への布石との見方が高まっている。
 出馬への野心を隠さないポンペオ前国務長官(59)は今月発売の著書で、ヘイリー氏がペンス氏を追い落として副大統領になろうとしていたと暴露。ヘイリー氏は「本を売るためのうそ」と非難し、有力者同士のつばぜり合いも激化し始めた。
 「トランプ政権のような政策を実現できるのはトランプ氏だけだ」。サウスカロライナ州で応援演説に立ったグラム上院議員はトランプ氏の下での再結集を呼びかけた。だが結束は見通せない。(ワシントン共同=田中光也)

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