洋上風力発電設備、EEZに拡大 政府検討、法整備へ
政府が再生エネルギーの活用を図るため、洋上風力発電設備を排他的経済水域(EEZ)にも設置できるよう法整備を進めることが29日、分かった。領土、領海内にとどまっている風力発電を拡大。2050年の脱炭素社会の実現を目指すと同時に、エネルギー危機を受け、自国で生産できる電源の選択肢を増やす狙いがある。関係者が明らかにした。
世界有数の広大な海域を背景に、洋上風力発電を充実させる。ロシアのウクライナ侵攻の影響による電力価格高騰などで、エネルギー確保は大きな課題だ。
早急な法整備を目指すが、実際の稼働には10年以上かかるとの見方もある。政府内では新法制定のほか、再エネ海域利用法を改正するなどの案もあり、内閣府担当者は「検討中だ」としている。
海の権利や利用などを定めた国連海洋法条約は、EEZ内で他国に航行の自由を保障する一方、沿岸国にエネルギー生産などの「主権的権利」があると規定している。
政府は昨年、EEZ内の洋上風力発電の実施に向け、国連海洋法条約との整合性を中心に、国際法上の課題を話し合う検討会を立ち上げ、有識者らと議論を進めていた。この結果、国内法を整備すれば、EEZ内での洋上風力設備の設置は可能だと判断した。
領海内は再エネ海域利用法により国が洋上風力の促進区域を設け、順次設置へ向けた準備が進められている。民間企業や関係団体からEEZまで設置海域を広げるよう要望が上がっていた。
洋上風力は再生可能エネルギー普及の「切り札」と位置付けられ、政府は40年に3千万~4500万キロワット(原発約45基に相当)の導入目標を掲げる。この目標値とは別に、風車を海に浮かべる浮体式に限った洋上風力の設置目標値も今後設定し、導入を図る方針だ。