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ネット情報規制 闇バイト募集、抑止期待 削除依頼、実効性に課題

 強盗や殺人の依頼をうかがわせるといったインターネット上の文言に関し、3月から「有害情報」として削除を依頼する方針を警察庁が明らかにした。関東などを中心に相次ぐ広域強盗事件で、捜査当局は実行役が「闇バイト」に応募したとみており、取り組みが機能すれば事件を未然に防ぐことができる。一方で削除依頼には強制力がないなど課題も残る。

削除依頼の流れ
削除依頼の流れ

 「SNS(交流サイト)で『日当100万円』などと記載された高額の求人に関する投稿を見つけ、金欲しさから応募した」。広域事件の一つで、山口県岩国市の住宅で昨年11月に起きた強盗未遂事件で起訴された男は捜査当局の調べに、犯行に関わるきっかけを供述した。
 各地で相次ぐ同種事件も同じような手口で、実行役が集められた可能性が高い。岩国市の事件では「タタキ(強盗の隠語)の仕事」と説明を受け加わった疑いがあることも判明。今後は「タタキ募集」といった直接的な表現のほか、前後の文脈などで強盗の勧誘と判断できれば、削除依頼の対象になる。
 削除要請を担うのは、2006年に設立され、警察庁が業務を委託する民間団体「インターネット・ホットラインセンター」(IHC)。ネット利用者や、警察に委託されサイバーパトロールをする民間団体から薬物取引や児童ポルノなど違法性が明らかな「違法情報」と併せて通報を受けて内容を分析。サイト管理者やプロバイダー(接続業者)などに連絡し、削除するよう求める。
 今回対象となった有害情報は、強盗や殺人の依頼をうかがわせる内容のほか「銃の譲渡」「爆発物・銃器の製造」など計7類型。これらは以前は対象に含まれていたが、国の行政改革推進会議で件数が少ないことなどを指摘され、16年度から全て外された。
 その後、17年に神奈川県座間市で9人の遺体が見つかった事件が発生。男がSNSで自殺願望を書き込んだ被害女性を次々と誘い出していたことから、18年1月から自殺を誘う文言のみ有害情報とされた。
 対象が広がった一方で、実効性の担保という面では削除依頼に強制力がないことがネックになる。海外のプロバイダーなどの場合、違法性の判断が国によって異なり、削除要請に応じないケースも多いという。
 ある警察庁幹部は課題を踏まえつつ、ここ数年でSNSの利用状況が爆発的に増えている状況を指摘。「各地の警察のサイバーパトロールは個別で行っている側面があり、国主導で一括して対応する意義はある」と強調した。

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