コロナ、4月下旬にも5類 政府、対策緩和へ工程表

 岸田文雄首相が新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを今春に5類に引き下げると表明したことを受け、政府は20日、移行に向けた作業を加速させた。早ければ4月下旬の移行を目指し、自治体や医療機関などの準備状況次第では5月も視野に入れる。

新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを今春、5類に引き下げる政府方針を伝える東京・渋谷の電光掲示板=20日午後
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを今春、5類に引き下げる政府方針を伝える東京・渋谷の電光掲示板=20日午後
マスク姿で名古屋駅前を歩く人たち=20日午後
マスク姿で名古屋駅前を歩く人たち=20日午後
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを今春、5類に引き下げる政府方針を伝える東京・渋谷の電光掲示板=20日午後
マスク姿で名古屋駅前を歩く人たち=20日午後

 厚生労働省は専門家による感染症部会を23日に開き、時期の具体化の議論を始める。複数の関係者によると、部会の議論を踏まえ、政府は見直す措置の対象や時期をまとめた工程表を作る方針。現在全額となっている医療費の公費負担は段階的に縮小するとみられる。
 岸田首相は記者団に、移行の時期やその決定は「できるだけ早いタイミング」とする意向を示した。関係者によると自治体が統一地方選の対応に追われる4月23日より後になる見通し。加藤勝信厚労相は記者会見で「医療提供体制や公費負担、患者負担の支援は段階的に移行する」と述べた。
 現在の位置付けは最も幅広い措置が可能な「新型インフルエンザ等感染症」。5類への引き下げによりさまざまな措置が緩和される方向で、国民の感染対策の意識低下が懸念される。加藤氏は「自主的な取り組みに移行するが必要性は変わらない」と述べ、手指の消毒や換気など基本的な対策の徹底は続けるよう呼びかけた。
 5類に移行すれば、限られた発熱外来で実施していた検査や診療は規定上、一般の医療機関に広がる。検疫法の対象外となり、海外からのウイルスの流入を防ぐ水際対策は原則適用できない。
 マスク着用は法的位置付けに基づく措置ではないが、政府は5類移行に並行し、屋外だけでなく屋内でも症状のある人などを除き原則不要とする方向で検討している。
 ワクチン接種は予防接種法に基づき実施されており、3月末までは無料で受けられることが決まっている。4月以降の方針について加藤氏は「位置付け変更と併せて結論を得ていきたい」とし、厚労省の専門部会でオミクロン株対応ワクチンの2回目接種の必要性や時期などを議論する。

あなたの静岡新聞 アプリ