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中国春節 工場「休まず働く」 アップル、インドで生産も

 中国は新型コロナウイルスを厳しく抑え込む「ゼロコロナ」政策を転換し、生産力回復にかじを切った。世界最大の米アップルのiPhone(アイフォーン)の工場を擁する河南省鄭州市では、計35万人ともされる従業員が稼働。アップルがインドに生産拠点を移すとの報道もあり、中国人にとって最も重要な春節(旧正月)の大型連休も「休まず働く」と意気込んでいる。

富士康科技集団の工場近くで営業する屋台=11日、中国河南省鄭州市(共同)
富士康科技集団の工場近くで営業する屋台=11日、中国河南省鄭州市(共同)
富士康科技集団の工場敷地内を行き交う従業員やバス=11日、中国河南省鄭州市(共同)
富士康科技集団の工場敷地内を行き交う従業員やバス=11日、中国河南省鄭州市(共同)
富士康科技集団の工場から出る従業員ら=11日、中国河南省鄭州市(共同)
富士康科技集団の工場から出る従業員ら=11日、中国河南省鄭州市(共同)
富士康科技集団の工場に出勤する従業員ら=11日、中国河南省鄭州市(共同)
富士康科技集団の工場に出勤する従業員ら=11日、中国河南省鄭州市(共同)
iPhone生産拠点の割合
iPhone生産拠点の割合
中国河南省鄭州市
中国河南省鄭州市
富士康科技集団の工場近くで営業する屋台=11日、中国河南省鄭州市(共同)
富士康科技集団の工場敷地内を行き交う従業員やバス=11日、中国河南省鄭州市(共同)
富士康科技集団の工場から出る従業員ら=11日、中国河南省鄭州市(共同)
富士康科技集団の工場に出勤する従業員ら=11日、中国河南省鄭州市(共同)
iPhone生産拠点の割合
中国河南省鄭州市


逃亡
 「1カ月半ずっと家にこもっていた」。台湾系の富士康科技集団の鄭州工場の人波から出てきた女性(42)は声をひそめた。工場では昨年10~11月に感染が急拡大、多くの工員が工場内にとどまらされ、暴動も起きた。この女性を含め、一時は、2万人が工場を離れたとみられる。河南省当局は、1月6日時点で省内の89%の人が感染したと発表した。
 女性は12月下旬から仕事を再開。「毎日が徹夜勤務。春節連休も2日しか休まない」。最上位機種のアイフォーン14プロマックスの背面カバーを作っている。前日の午後7時半から勤務し、工場から出てきたのは午前6時半ごろ。屋台で買った揚げたてのソーセージをほおばった。

フル稼働
 地元紙によると、鄭州工場は昨年末にフル稼働に戻り、雇用も増やし始めた。昨年12月半ばから入った20代の若い女性の工員2人も「給料も待遇も安定している。入社して親も喜んでる」と語った。「でもアイフォーンは高くて買えない」と華為技術(ファーウェイ)のスマホを見せて笑う。
 別の工員の女性(40)は夫と離れて暮らすが「徹夜はきついけど、息子を大学に行かせてるから」と話す。

脱依存
 「インドへの移転は中国の政治リスクを減らすのが狙いだ」。アイフォーンの部品を供給するメーカー関係者は指摘する。これまで、中国の熟練工は魅力となり、外国企業を引きつけた。ただ、中国も人口減少の時代に入り、競争力が落ちるとの見方も多い。
 台湾メディアのデジタイムズは、2022年は実質的には5%未満だったインドでのアイフォーンの生産が27年には半分程度にまで拡大すると報じた。ただ日本企業の現地法人首脳は、インドで中国と同様の質の工員を集めるのは難しいと語る。「中国を供給網から外すゼロチャイナは容易ではない」と中国依存からの脱却に否定的な見方を示した。(鄭州、北京共同=野崎亮)

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