首相、コロナ春に5類移行指示へ 20日に閣僚会議、対策大転換

 岸田文雄首相は新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けについて、季節性インフルエンザと同じ「5類」へ引き下げる意向を固めた。20日に関係閣僚と協議し、今春の移行を見据え具体的な検討を指示する。現行の「新型インフルエンザ等感染症」の位置付けを変更することで、医療や社会活動に関する制限措置が緩和され、従来の感染対策は大きく転換する。複数の政府関係者が19日、明らかにした。

岸田文雄首相
岸田文雄首相

 移行の具体的な時期などは今後、厚生労働省の感染症部会で専門家の意見を聞き、正式に決める。政府内では4月など複数の案が浮上している。医療費の公費負担など移行に伴い見直しが必要な措置は引き続き自治体や医療機関などと協議する。
 松野博一官房長官は19日の記者会見で、移行について「感染状況や科学的知見、専門家の議論も踏まえ総合的に判断したい」と述べた。
 現行の新型インフルエンザ等感染症の位置付けは感染症法上、感染者や濃厚接触者の行動制限など最も幅広い措置が可能だが、政府内では要件に該当しないとの声が強まっていた。
 5類になれば医療費は原則自己負担が生じるが、経過措置として公費負担を継続するとみられる。感染者で7日間、濃厚接触者で5日間の待機期間はなくなる見通し。緊急事態宣言などを定める新型コロナ対応の特別措置法の対象外となり、政府の対策本部は廃止される。
 政府は屋内でのマスク着用の在り方も議論。現在は距離が確保でき会話をほとんどしない場合を除き着用を推奨しているが、症状のある人などを除いて原則不要とする方向で検討している。
 政府はこれまでも感染者の全数把握の簡略化や水際対策の緩和など新型コロナ対応を部分的に緩めてきた。厚労省の専門家組織は11日、法的位置付けは「段階的に移行していくことが求められる」との見解を公表した。

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