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中国GDP ゼロコロナ「深い傷」 頼みの不動産、車に懸念

 中国の2022年の国内総生産(GDP)は3%増で、「5・5%前後」としていた政府の通年の成長率目標を大きく下回った。新型コロナウイルスを厳しく抑え込む「ゼロコロナ」政策は年末に事実上崩壊。今年は景気対策に本腰を入れるとみられるが、経済停滞による傷は深い。頼みの綱とする不動産や自動車にも懸念が残る。

コンテナ運搬用のクレーンが並ぶ中国・天津の港=16日(AP=共同)
コンテナ運搬用のクレーンが並ぶ中国・天津の港=16日(AP=共同)
建設が滞り廃虚状態で放置されている高層マンション=11日、中国河南省鄭州市(共同)
建設が滞り廃虚状態で放置されている高層マンション=11日、中国河南省鄭州市(共同)
建設が滞り廃虚状態で放置されている高層マンション=11日、中国河南省鄭州市(共同)
建設が滞り廃虚状態で放置されている高層マンション=11日、中国河南省鄭州市(共同)
「鄭州日産汽車」の本社=11日、中国河南省鄭州市(共同)
「鄭州日産汽車」の本社=11日、中国河南省鄭州市(共同)
中国GDPの内訳
中国GDPの内訳
コンテナ運搬用のクレーンが並ぶ中国・天津の港=16日(AP=共同)
建設が滞り廃虚状態で放置されている高層マンション=11日、中国河南省鄭州市(共同)
建設が滞り廃虚状態で放置されている高層マンション=11日、中国河南省鄭州市(共同)
「鄭州日産汽車」の本社=11日、中国河南省鄭州市(共同)
中国GDPの内訳


バブル崩壊
 「もう3年ぐらい、ずっとあんな感じで変わりない」。1月中旬、河南省鄭州市の高層マンション建設現場近くで飲食店を経営する男性はため息をついた。建設現場の入り口から見えるだけでも十数棟が廃虚状態で放置されている。
 GDPの産業別内訳によると、建設・不動産は21年に13・8%だが、関連産業も含めれば2割超を占めるとみられている。習近平指導部による規制などにより、中国恒大集団をはじめ不動産大手の経営危機は続く。「不動産バブルははじけた」と中国の経済学者は声をひそめた。
 世界銀行が10日発表した最新の経済見通しでは、中国の今年の成長率は4・3%。前回22年6月時点の予測から1ポイント近く下方修正しており、住宅市場の回復が経済の浮沈の鍵を握る。

頭打ち?
 世界最大の新車市場である中国は電気自動車(EV)の生産を強化。比亜迪(BYD)が1台1500万円以上する高級ブランドを発表し、日本市場にも積極的に売り込みを図る。
 中国の22年の新車販売台数はゼロコロナで打撃を受けた中でも前年比2・1%増の2686万4千台。EVをはじめとする新エネルギー車は93・4%増だった。
 日産自動車の現地企業との合弁会社「鄭州日産汽車」は本社を鄭州に構える。22年後半はコロナの感染拡大で業績は低迷し日産の中国販売は前年比22・1%減となった。
 研究開発部門の侯軍海さん(39)は今年に入り「ついに出張に行けるようになった」と笑顔を見せる。工場も正常化したと話し「給料が減らされた昨年よりはましな年にしたい」と語った。
 ただ自動車業界の関係者は「中国のEVの伸びは鈍化しており、頭打ちだろう」と分析し、悲観的な見方も。世界経済の減速で欧州への自動車の輸出が打撃を受けるとの見方が強い。ニッセイ基礎研究所の三尾幸吉郎上席研究員は「23年は国内消費が昨年より回復するだろうが、輸出は低迷する可能性が高い」との見方を示した。(鄭州、北京共同=野崎亮)

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