愛知県知事選 「大村1強」に5新人挑戦 減税低迷、対抗馬断念も

 19日告示の愛知県知事選は、4選を目指す現職の大村秀章氏(62)に政治団体役員の尾形慶子氏(65)=共産推薦、社民県連支持=ら5新人が挑む構図だ。3期12年の大村県政の評価が争点となる。ただ大村氏は与野党問わず推薦を取り付け「1強」状態。対抗馬擁立に意欲を示してきた地域政党「減税日本」代表の河村たかし名古屋市長も党勢低迷を背景に白旗を揚げつつある。

愛知県知事選の顔触れ
愛知県知事選の顔触れ

 「つらい。相当熱心にやった。『どうすりゃいいんだ』と言っていたことにしてほしい」。知事選が間近に迫った10日の記者会見。「総理を狙う男」を自称してきた河村氏は独特の表現で、減税の候補者選考が行き詰まっていることを認めた。
 「盟友」だった大村、河村両氏は2011年の知事・市長のダブル選は「減税」を掲げて共闘したが、その後は大村氏が減税の旗を降ろしたこともあって関係が急速に悪化。河村氏は、芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の運営を巡る大村氏の解職請求(リコール)運動を支援した。
 昨夏の参院選で減税は日本維新の会と連携したものの、愛知選挙区で共同公認した候補者は落選。今春の統一地方選でも協力を目指したが、候補者の公認に関し意見がまとまらず、協力は白紙となった。離党者も出ており「全県の知事選を戦えるほど余裕はない」(減税関係者)のが現状だ。
 一方、大村氏は初当選した11年知事選で敵対した自民党との関係を修復。2期目以降は次世代産業育成や観光振興、インフラ整備予算を重視し、自民と協調を図ってきた。
 立憲民主、国民民主両党を支援する連合愛知にも接近。昨年4月には、トヨタ自動車労働組合出身で元民主党衆院議員の古本伸一郎氏を副知事に起用した。大村氏が昨年9月に出馬表明すると自民県連、立民、公明、国民各党が大村氏を次々推薦した。自民ベテラン県議は「民間を含め各方面への目配り、気配りができている」と舌を巻く。
 ただ、名古屋市トップの河村氏といがみ合う状況は大村県政のアキレス腱にもなっている。愛知中小企業家同友会の高瀬喜照会長は、雇用創出や地域金融の円滑化などに向け「県と市の連携は必要不可欠だ。建設的な議論と深い関係づくりを要望する」と訴えている。
 知事選にはほかにコンサル業山下俊輔氏(60)、薬剤師上原俊介氏(46)、元春日井市議末永啓氏(37)、会社社長安江朗氏(55)も出馬する。

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