株主優待、3年連続減少 上場銘柄の34%、9月末

 株主に自社の商品やサービスの割引券などを贈る株主優待制度を持つ上場銘柄の割合は、2022年9月末時点で前年同期比1・0ポイント減の34・2%(1473社)と、3年連続で減少したことが28日、野村インベスター・リレーションズ(IR)の調査で分かった。ピークの19年9月末(37・2%)まで長く増加基調が続いた優待制度が岐路を迎えつつある。

株主優待廃止の例
株主優待廃止の例

 優待は個人株主に人気の一方、保険会社や信託銀行などの機関投資家、海外の投資家は利用しづらい。不平等との批判から、配当や自社株買いで株主に還元する動きが強まっている。優待の廃止理由は「公平な利益還元」が最多だった。野村IRが上場企業と不動産投資信託(REIT)、上場投資信託(ETF)などを調べた。
 オリックスは22年5月に優待の廃止を発表した。全国各地の特産品を選べるカタログギフトが人気だったが「海外投資家に不公平感があった」とする。日本たばこ産業(JT)はパックご飯やカップ麺のセット、マルハニチロはカニやホタテなどの缶詰詰め合わせを贈る優待を取りやめることを決めた。3社とも配当などに還元を集約する。
 ただ、個人株主を増やし、長期保有してもらいたい企業に優待は依然有効だ。野村IRが21年11月から22年6月にかけ、情報誌「知って得する株主優待」読者に実施したアンケートによると「優待がある銘柄のみを買う」との回答が33・9%に上った。手放す際も「優待がある銘柄は売却しないか後回し」が64・7%に達した。同誌の千葉博文副編集長は「優待は個人投資家に根強い人気があり、再び増加に転じることも想定される」と指摘している。

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