訪日客 5兆円目標へ「富裕層」誘致が鍵 高級宿の不足ネック

 訪日客が戻りつつある。岸田政権は訪日客による年間消費額の新目標を「5兆円超」に設定。早期達成の鍵を握るのは、高額消費が期待できる富裕層だ。日本の原風景や伝統文化を好むとされ、地方も商機拡大が見込める。ただ日本は高級宿や、文化体験と上質な食事がセットになった高価格商品に乏しく、国や自治体は対応に乗り出す。

旅行会社向けの説明会で、山梨県指定の無形民俗文化財の人形芝居をPRする県職員(右)=8月、米サンフランシスコ(同県提供)
旅行会社向けの説明会で、山梨県指定の無形民俗文化財の人形芝居をPRする県職員(右)=8月、米サンフランシスコ(同県提供)
山梨県が開いたPRツアーで古民家カフェを訪れた中東諸国の駐日大使(左側)ら=11月、山梨県早川町(同県提供)
山梨県が開いたPRツアーで古民家カフェを訪れた中東諸国の駐日大使(左側)ら=11月、山梨県早川町(同県提供)
山梨県が開いた旅行会社向けの説明会=8月、米サンフランシスコ(同県提供)
山梨県が開いた旅行会社向けの説明会=8月、米サンフランシスコ(同県提供)
山梨県が開いた旅行会社向けの説明会で、VR(仮想現実)による富士山の映像を体験する旅行会社社員ら(左)=8月、米サンフランシスコ(同県提供)
山梨県が開いた旅行会社向けの説明会で、VR(仮想現実)による富士山の映像を体験する旅行会社社員ら(左)=8月、米サンフランシスコ(同県提供)
旅行会社向けの説明会で、山梨県指定の無形民俗文化財の人形芝居をPRする県職員(右)=8月、米サンフランシスコ(同県提供)
山梨県が開いたPRツアーで古民家カフェを訪れた中東諸国の駐日大使(左側)ら=11月、山梨県早川町(同県提供)
山梨県が開いた旅行会社向けの説明会=8月、米サンフランシスコ(同県提供)
山梨県が開いた旅行会社向けの説明会で、VR(仮想現実)による富士山の映像を体験する旅行会社社員ら(左)=8月、米サンフランシスコ(同県提供)


受け皿
 観光庁が「富裕層」と位置付けるのは1度の来日で100万円以上を使う客だ。2019年は米、英、仏、独、豪、中国の6カ国から29万人が来た。訪日客全体(3188万人)の1%足らずだが、買い物や飲食などの消費額では全体(4兆8135億円)の11・5%を占めた。
 日本政府観光局によると、例えば英国富裕層による海外旅行で消費額が最も大きいのはスペインで、日本は36位。観光庁は「他国と比べ、富裕層の獲得シェアが低い」と指摘する。
 国内の旅行会社幹部は「コロナ禍を経て旅先の歴史や文化を体験しようという意識が高まっている。富裕層は、密を避けるため、ゆとりのある五つ星ホテルの利用も増える傾向だ」と話す。
 だが受け皿は足りない。観光庁のまとめでは、日本にある五つ星ホテルは20年6月時点で34軒。東京に21と集中し大阪5、京都3、横浜2、北海道、三重、広島が各1だった。その後、日本進出が決まった施設もあるが米国801、中国137などと落差は大きく、地方は数が不足している。

巻き返し
 高級宿が少ない背景には、日本人が手頃な値段で泊まれるホテルが主流で、地方は世界的ホテルチェーンとの接点が少ない課題もある。ある県の幹部は「既存の宿泊施設と競合する恐れもあり行政が表立って誘致しづらい」と明かす。
 観光庁は22年度中に富裕層誘致のモデル地域を全国から10カ所ほど選び、専門家を派遣したり、事業資金の調達を支援したりする。
 富士山、ワインなど観光資源が豊富な山梨県。東京から日帰りで訪れる人が多く、観光目的の訪日客1人当たり消費単価(19年)は東京の9万9千円に対し1万8千円。平均宿泊日数も東京の5・6日より大幅に少ない1・3日だった。
 県は巻き返しに向け、中東諸国の駐日大使を招いた県内ツアー、米国でのPRを重ねている。高級宿誘致に絞った事業者支援の制度創設も検討中で、県の担当者は「富裕層に長く滞在してもらうのに五つ星ホテルは必要不可欠」と強調した。

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