藤枝明誠の校歌なぜ長い? 1番だけで「日本一」【NEXT特捜隊】

 「藤枝明誠の校歌はなぜ長いの?」

1番だけしかない藤枝明誠中・高の校歌。歌いきるのに約3分かかるという=1月中旬、藤枝市の同校
1番だけしかない藤枝明誠中・高の校歌。歌いきるのに約3分かかるという=1月中旬、藤枝市の同校
校歌を作詞した故小山一重さん
校歌を作詞した故小山一重さん
1番だけしかない藤枝明誠中・高の校歌。歌いきるのに約3分かかるという=1月中旬、藤枝市の同校
校歌を作詞した故小山一重さん

 読者の日常の困り事や疑問を取材、調査する静岡新聞社「NEXT特捜隊」に素朴な問いが寄せられた。藤枝市在住の記者も実は気になっていた。まずは当の藤枝明誠中・高(藤枝市大洲)を訪ねた。
 「校歌は1番だけですが、歌いきるのに3分かかります」(塙博校長)。体育館に掲げられた校歌額を見せてもらった。確かに字数が多い気がする。地元の藤枝市はホームページで「日本一、1番が長い校歌」として紹介しているが、詳しい背景が分かる資料には行き着けなかった。
 作詞は、姉妹校の藤枝南女子高(現・藤枝順心高)元副校長の故小山一重さん(1917~99年)。小山さんの次男信彦さん(67)に話を聞いた。
 「父は大の野球好きでした。いつのことだったか、テレビで高校野球の校歌斉唱のシーンを見ていた時にふとつぶやいたんです。『思いが1番で全て伝わるのがいい』と」
 長年国語の教員を務め、校歌の歌詞にも造詣が深かった。さまざまな校歌を聞き、誰が作詞したかなどに着目していたという。
 依頼を受けた小山さんは藤枝明誠高開校前年の1982年に歌詞を完成させた。信彦さんは推測する。「父は校訓や風土などの要素を全て1番に盛り込みたかったはず。結果として長くなったのでしょう」。作詞した吉田高=2014年に閉校=の校歌も同じく長かったという。
 塙校長ら学校関係者は小山さんの人柄について「進取の精神にあふれた人」と口をそろえる。信彦さんも「型にはまらず、新しいことに挑戦する姿勢が歌詞に表れたのでは」と振り返った。
 「3分」というのは標準的な校歌に比べてどれほど長いのだろうか。周辺の別の高校に聞くと、1番は40秒程度、3番まで歌っても3分かかることはないという。
 藤枝明誠高は2017年夏、全国高校野球選手権に初出場。甲子園のアルプス席に「日本一、1番の長い」校歌が響いた。「生きていたらきっと喜んでいたでしょうね」。信彦さんはそう言って、目を細めた。(TEAM NEXT編集委員 寺田将人)

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