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中止の総体 代替大会に県教委“不在”なぜ?【NEXT特捜隊】

(2020/6/7 07:53)
昨年の県高校総体のコラージュ。今年は3年生にとって集大成となるはずだった県総体が中止となり、高体連各専門部が代替大会の開催を模索している
昨年の県高校総体のコラージュ。今年は3年生にとって集大成となるはずだった県総体が中止となり、高体連各専門部が代替大会の開催を模索している

 「静岡県教育委員会が、県高校総体の代替大会の主催者に入らない方針なのは、なぜ? 顧問の先生方が困っている」
 県立高のバレーボール部員の母親から「NEXT特捜隊(N特)」に県教委の対応をいぶかしがる声が寄せられた。多くの3年生にとって集大成となるはずだった県総体が新型コロナウイルスの影響で中止と決まり、県高体連の各専門部が代替大会の開催を模索している。取材すると、各競技にも波紋が広がっていた。
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 新人戦やインターハイ予選はこれまで、県高体連と各競技団体、県教委の3者が連名で主催してきた。県高体連によると、現在32競技のうち約20競技が代替大会を準備。各競技関係者は今回も同じ方式による開催を望んだが、県教委が回答を保留しているという。
 「総体が中止になった子どもたちの悔しさを、県教委に理解してもらえているのか」。顧問と保護者会とのやりとりの中で漏れてきた話に、母親は不安を覚えたという。
 早速、県教委健康体育課を訪ね、話を聞いてみた。担当者によると、県教委が主催に入らなくても大会開催は可能という。主催に加わらない方針の理由に挙げたのは、全ての競技で代替大会が開催されるわけではないこと。「開催できなかった他の競技の生徒がどんな気持ちになるか。公平性を考えている」とし、「開催できる競技は予算面を含めてできる限りのサポートをしていく」と強調した。
 ■他県は関与
 スポーツ庁は全国の代替大会を支援しようと補正予算案に8億円を計上したばかり。三重や佐賀、山口、秋田などの各県教委は、開催できない競技があっても、主催者として関わる方針だ。
 開催に向けて士気を高めていた本県の競技関係者は、県教委の説明に憤っていた。
 県東部地区の運動部顧問は「感染が起きた場合の責任を取りたくないだけでは。逃げているようにしか見えない」と首をかしげ、顧問や生徒を送り出すことになる中部地区の校長は「感染予防策などはしっかり確認するつもりだが、何かあった時には県教委に一緒に矢面に立ってほしいのに…。全てを各校長の責任とするのは酷では」と本音をのぞかせる。
 ■公務か不透明
 現場が困惑する背景には、役員や審判員として大会に関わる多くの教諭がこれまでの県総体と同じように「公務」と認められるのか、はっきりしていない事情もある。
 県高体連は大会2週間前からの健康チェックや設備の消毒、保護者の同意書提出などを徹底するとしているが、感染リスクはゼロにはならない。「コロナ禍の中、自分の立場があやふやでは心配」という現場の声に対し、県教委高校教育課は「役員や審判を務める先生方をどういう扱いにするかは、検討中としか言えない」と歯切れが悪い。両者の間に溝が生まれつつある。
 情報を寄せた母親に県教委の説明を伝えた。母親は少し考え込み、「分からなくもない。代替大会さえ無くなった子どもたちのことを考えると、確かに難しい話ですね」とつぶやいた。(TEAM NEXT編集委員 南部明宏)

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