かんたん自然遊び【秋】動き出しそうなムカデ クズの葉っぱで作れるよ(山田辰美/常葉大名誉教授)

 今回はクズ(葛)を使って、子どもたちをびっくりさせる生き物を作ってみましょう。葉っぱをたくさん集めて組み上げると、なんと巨大なムカデができるのです。

クズを使って巨大なムカデを作ってみよう。冠もできるよ
クズを使って巨大なムカデを作ってみよう。冠もできるよ
クズを使って巨大なムカデを作ってみよう。冠もできるよ

 ムカデは「百足」と書きます。細長い体全体からたくさんの足が左右に伸びていて、体をうねらせて進む様子は不気味です。昆虫やミミズを食べる肉食で、自然界では大切な役割を担っていますが、鋭い大あごで人にかみつくことがあるので嫌われ者です。
 クズの葉は3枚の小葉と20~30センチの葉柄[ようへい](茎部分)からなり、葉枕[ようちん]というぷっくり膨れた部分でつるに付いています。葉柄を持って引っ張れば、簡単につるからむしり取れます。小葉を摘み取り、葉枕が付いた葉柄を30個以上集めます。これで準備完了。クローバーで冠を作るのと同じ要領で編んでいきます。
 出来上がったムカデをうねらせるとリアリティーが増します。手に持つだけでもワクワクしますが、大きな木などに張り付けておいて仲間を驚かせても楽しいです。
 クズはマメ科植物でやせ地でもよく育ち、役に立つ有用植物でした。農村に牛馬やヤギなどが飼われていた昔は、優秀な飼料として刈り取られました。しなやかなつるは薪[まき]などを束ねるのに使われ、その繊維からは葛布が織られました。根は良質なでんぷんの葛粉が取れるだけでなく、葛根湯などの漢方薬になります。大きな赤紫の花房は美しく、秋の七草の一つです。
 虫が苦手な子には、ムカデの脚の長さを変えたり花を挿したりして、冠にすると喜ばれるでしょう。また、クズの太いつるを丸く絡めていくと、クリスマスリースのベース(輪)ができます。松ぼっくりやドングリなどの木の実を付けて楽しみましょう。(常葉大名誉教授=藤枝市)

 ■作り方と遊び方 
 ①大きなクズの葉っぱを30~40枚集める
 ②3枚の小葉を取り外して、葉枕の付いた状態の葉柄を使う
 ③2本を長い触覚、2本を大あごとして計4本の葉柄を束にしてつかむ
 ④❸の束と直角に葉枕のある方(脚)を5センチ程度横に出して、葉柄を絡める
 ⑤➍と反対側に葉柄(脚)を出して、絡める
 ⑥脚の間隔を詰めて、左右交互に固定していく
 ⑦最後の脚の先は腹側に回して、隙間に差し込んで留める
 ⑧木の実を触覚の付け根に付けて、目とする
 関連動画▶クズの葉っぱでかんむり作り

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