韮山の「江川酒」320年ぶり復活へ 製法書を基に仕込み

 江戸末期の韮山代官江川英龍の業績発信を目的とした有志団体「江川英龍公を広める会」が、江戸中期まで江川家が醸造していた日本酒の復元プロジェクトに取り組んでいる。江川酒と呼ばれ、徳川家康や豊臣秀吉も愛飲したとされる。当時の製法書を基に地元の蔵元が仕込み作業を進めていて、約320年ぶりの復活を目指す。

江川酒の仕込みの状況を確認する関係者=伊豆市の万大醸造
江川酒の仕込みの状況を確認する関係者=伊豆市の万大醸造


 同会副会長で江川文庫学芸員の橋本敬之さん(68)によると、江川家に集められた年貢米の一部を使って造っていた。韮山城を築いた北条早雲が江川酒と命名し、全国の戦国大名に贈ったとの史料が残る。秀吉は花見のために取り寄せ、韮山へタカ狩りに訪れた家康も称賛したという。
 しかし、1698年の財政改革で年貢が幕府に直接納められるようになったため、江川家が使える米がなくなり、そこから醸造できなくなった。その当時書かれたとみられる製法書「御手製酒之法書」が昨年5月に見つかり、今回のプロジェクトを企画した。
 蔵元は伊豆市の万大醸造。図解されている道具の再現は難しいものの、白米やこうじ、水の量はほぼ製法書通りに仕込みを進めている。現代の製法よりも使う水の量が少ないという。
 1日には同会の関係者らが仕込みの状況を確認に訪れた。江川家42代当主の江川洋さん(50)は「いろいろな時代の人が飲んで楽しんだ酒。江川家の歴史に興味を持ってもらうきっかけになれば」と期待を寄せた。杜氏(とうじ)の伊奈静夫さん(73)は「どんな味になるか想像がつかないが、甘さや酸が多めに出るかも」と予測した。早ければ今月中に完成する。4合瓶数百本分程度の量を見込む。販売するかは未定。

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