病床使用率55.9% 静岡県内、高齢者対応が鍵【新型コロナ】
(2020/12/1 09:36)-
新型コロナウイルスの感染急拡大で県内の受け入れ病床使用率は30日、過去最高の55・9%に達した。県は同日の記者会見で「完全に逼迫(ひっぱく)し、その度を超える瀬戸際」と医療崩壊の恐れが現実味を帯びていることをにおわせた。関係者は危機感を一層強め、事態打開の方策に「高齢者対応」を挙げる。認知症や要介護、基礎疾患の有無など多様な特性に応じて医療と介護に適切に振り分け、宿泊療養施設も活用すべきとの考え方だ。
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「このままでは医療崩壊が起こる」
11月下旬、静岡市で開かれた県医療対策協議会。聖隷三方原病院(浜松市北区)の荻野和功院長は現場を率いる立場として強いメッセージを発していた。
荻野院長は介護施設から入院した高齢者は回復しても施設側が業務を縮小したり、新たな感染を怖がったりして引き取られないケースがあると説明。「速やかに退院されず次の患者に備えられない」。患者が認知症の場合は看護の手がさらに必要になるとし、医療と介護の役割を整理する必要性を訴えた。
協議会の小林利彦会長と県病院協会の毛利博会長も同調する。11月以降、右肩上がりの病床使用率は落ち着く気配がない。毛利氏は「高齢者施設で新たなクラスターが出れば一層緊迫する」とし、小林氏は「認知症の高齢者を全て入院させるべきなのか。(集団感染が発生した)施設に医療チームを投入するなど試行錯誤していい」と提案した。
高齢者は重症化リスクが高いとされる一方、軽症や無症状のまま退院する例が少なくなく、柔軟に対応すべきとの議論もある。11月の全国知事会では「治療を要さない高齢者に医療資源を用意する現状は非効率」といった趣旨の声が上がった。
県によると、政府は高齢者を原則入院させる当初の基準にとらわれなくても良いとする方針を都道府県に通知した。入院の必要がないと医師が判断すれば宿泊療養施設に収容し、体調が悪化したら速やかに入院させる仕組みが整えば、医療と療養施設との役割分担を図ることができる。
県は11月下旬以降、医療、介護の専門家を集めた協議会を相次いで開催した。鈴木宏幸医療局長は「幅広く意見を聞き、あるべき医療提供体制を維持する」と強調した。
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