アミノ酸にウイルス増殖抑制効果、臨床研究へ 袋井の製薬工場製造、長崎大が効果確認【新型コロナ】
(2020/11/24 19:30)-
製薬会社ネオファーマジャパンの袋井工場(袋井市久能)で製造しているアミノ酸「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」に、新型コロナウイルス増殖の抑制効果があることが24日までに、先進的な感染症研究で知られる長崎大(長崎市)の基礎研究で確認された。新型コロナの新たな治療法確立につながることが期待されるとし、同大が臨床研究に乗り出した。袋井の技術がコロナ対策に一役買う可能性が出てきた。
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5-ALAは、動植物の体内で作り出されていて、生命活動を維持する上で重要な役割を担っている。同社によると、袋井工場は世界で唯一5-ALAの大量生産が可能な施設で、医薬品やサプリメント、化粧品の原料などとして利用が進む。
創薬研究に取り組む同大大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科長の北潔教授は、5-ALAを使ったマラリアの治療薬開発を進めている。研究過程でさまざまな感染症への治療効果が期待できると判明し、新型コロナへの効果研究にも着手した。
第1段階の細胞試験では、一定濃度以上の5-ALAを加えると感染を完全に抑えることが判明。臨床研究は軽症・中等症の患者に投与して症状の改善やPCR検査で検出されるウイルス量などを検証する。一定の効果を確認した段階で治験に進み、国の認可取得を目指す。
北教授は同社が5-ALAを健康食品などの原料として大量生産していることに注目。「安全性が既に確保されている上に安定した大量供給が可能。(治療薬として認められれば)社会・経済にも多大な効果が期待できる」と強調する。
同社は5ーALAに関する知識や技術を生かし、今回の研究をサポートする。宇野哲二工場長は「袋井から、コロナ患者を救う可能性を秘めた治療法が発信できるかもしれない。誇らしく思う」と話した。
<メモ>5-アミノレブリン酸(5-ALA) 日本酒や納豆などの発酵食品に多く含まれているアミノ酸。ミトコンドリアが、活動に必要なエネルギーを作り出すために不可欠な物質で、36億年前の地球上の生命誕生にも関わっていたと考えられることから“生命の根源物質”とも呼ばれる。長崎大は国内外でも有数の感染症研究拠点として評価されていて、5-ALAを活用し、マラリアの治療薬開発や、ミトコンドリア糖尿病の臨床研究などにも取り組んでいる。
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