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介護現場にロボット 静岡県内、普及拡大 複数「接触」防止へ

(2020/11/17 12:20)
介護ロボットで吉田正明さんの移乗を支援する南條彰さん(右)。複数の職員による介助を避ける効果もある=10月下旬、静岡市葵区の特別養護老人ホーム「厚生苑 清流の郷」
介護ロボットで吉田正明さんの移乗を支援する南條彰さん(右)。複数の職員による介助を避ける効果もある=10月下旬、静岡市葵区の特別養護老人ホーム「厚生苑 清流の郷」

 体の不自由な高齢者や障害者の自立を支援する「介護ロボット」の普及が、県内の福祉施設でも進んでいる。職員の負担軽減や人手不足への対応といった従来の目的に加え、コロナ禍での「接触」防止につなげる狙いもある。国や県なども助成内容を拡充していて、専門家は「介護の質の維持や向上にもつながる」と活用の広がりに期待する。
 「ゆっくり動くから大丈夫。ハンドルを持って、前にもたれかかればいいよ」。静岡市葵区の特別養護老人ホーム「厚生苑 清流の郷」で10月下旬、職員の南條彰さん(49)が利用者の吉田正明さん(81)に寄り添いつつ、ベッドから車いすへの移乗を助けるロボット「Hug(ハグ)」を操作していた。
 施設は今年からハグを導入し、適用できる利用者に積極的に使っている。高齢者を抱えながら服の脱ぎ着を支援するトイレの介助など、以前なら職員2人がかりだった仕事が1人で対応できるようになった。「女性スタッフのみで体の大きい男性に対応でき、職員同士の密接も避けられる」と施設長の中山千砂子さん(60)は効果を語る。
 人工知能(AI)を活用した見守りロボットを取り入れる施設もある。同市駿河区の小規模多機能型居宅介護「まごころの家*馬渕」ではベッドの下に敷いたセンサーの情報から、利用者の離床をAIで予測するシステムを整備した。職員の勝治大雅さん(25)は「夜間の居室巡回も最低限で済んでいる」と説明する。
 福祉施設のロボットの普及を後押しするため、国や県は本年度、介護と障害の両分野で助成制度を拡充した。県介護保険課によると、9月に先着順で募集した見守り機器の導入促進補助は約1カ月で予算額に達するなど「需要はとても高い」(担当者)という。
 県立大短期大学部の高木剛教授(介護福祉学)は「コロナ禍で介護職の確保が一段と厳しくなる中、ロボットが一部の業務を代替することで施設運営の効率化を図ることが可能になる。多様化する利用者のニーズに適したロボットの選定や、行政による導入支援のさらなる拡大が求められる」と指摘する。

 <メモ>介護ロボット センサーで情報を感知して判断、駆動するロボット技術を応用し、高齢・障害者の自立や介護者の負担軽減に役立てる機器。厚生労働省と経済産業省は介護利用における重点分野として、器具から器具に乗り移る動きをサポートする「移乗支援」や歩行時の姿勢保持を助ける「移動支援」、便や尿を自動で処理する「排せつ支援」など6分野13項目を挙げている。

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