静岡新聞NEWS

生き生き「おむつゼロ」介護 静岡県内の施設、工夫凝らし推進

(2020/6/2 20:32)
「おむつゼロ」達成のプロセス
「おむつゼロ」達成のプロセス
職員の補助を受けながら歩く利用者=4月下旬、静岡市清水区のあすなろの家
職員の補助を受けながら歩く利用者=4月下旬、静岡市清水区のあすなろの家

 静岡県内の高齢者福祉施設で、利用者が日中におむつを着けずにトイレで排便する「おむつゼロ」を目指す取り組みが注目を集めている。おむつゼロ達成は全国的に見ても先進的で、高齢者が本来持つ力を最大限引き出すことにつながり、健康改善が見込める。各施設は独自の工夫を施し、水分摂取、食事、排せつ、運動の四つを自然に近い形に近づける「自立支援介護」を進めている。
 今春におむつゼロとなった特別養護老人ホームあすなろの家(静岡市清水区)は50人が入所し、約7割が認知症を患っている。認知症患者は排せつ時の意思表示が難しいためおむつを着用することが多いが、同施設は2013年からおむつゼロを目指し、自立支援介護に力を入れた。当初、利用者の1日当たりの水分摂取量は平均1リットル以下で、水分不足から便秘がちな利用者が多かったという。使いやすい形状のコップやとろみの付いた飲み物を用意する工夫が功を奏し、19年には平均が1・5リットルを超えた。
 他にも毎日歩行の時間を設け、補助が必要な利用者には調理員らも手を貸している。十分な水分と適度な運動が整うと固形物が食べられるようになり、排せつの時間が一定に近づく。時間に合わせて職員が目を配り、トイレまで誘導したという。
 09年におむつゼロを達成した御前崎市の灯光園は、歯科技工士を常駐させ、利用者の歯の健康を整えたことが奏功した。歯の治療を受けた利用者は食物繊維が豊富なものも食べられるようになり、便秘解消につながったという。担当者は「おむつの世話で職員の手を煩わせるという思いから解放され、明るくなった」と利用者の変化を語った。

 ■できること 積極的に 県立大短期大学部高木教授
 高齢者は使わない身体機能から衰えていく。介護福祉が専門の静岡県立大短期大学部社会福祉学科高木剛教授は「健康で長生きするには、できることは高齢者自身が行うことが大切で、達成感が自信にもつながる」と、「おむつゼロ」を目指す意義を強調する。
 自分の思いを言葉で伝えづらい認知症患者の介護では、職員が利用者の動作やしぐさを注意深く観察し、思いを読むことも求められる。特別養護老人ホームあすなろの家では、歩いたり立ち上がったりするといった利用者ごとの排せつ前のサインを職員で共有し、適切なタイミングでトイレに誘導することで成功率向上につなげた。
 高木教授はおむつゼロの達成を、「職員の力量があればこそ」と評価する。

静岡医療・健康・福祉の記事一覧

ニュースアクセスランキング

  • 読み込み中です・・・
静岡新聞データベース

SBSテレビチャンネル

YouTube
こどもみらいプロジェクト「おやこアットエス」
静岡新聞SBSスクープ投稿
静岡新聞モバイルサイト