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社会的距離、戸惑う視覚障害者 「生きづらい」と不安の声

(2020/6/1 07:39)
研修生に施術法を指導する梅原慈香さん(中央)。患者と密接する業務の難しさを語った=静岡市駿河区の静岡医療福祉センター「ライトホーム」
研修生に施術法を指導する梅原慈香さん(中央)。患者と密接する業務の難しさを語った=静岡市駿河区の静岡医療福祉センター「ライトホーム」

 新型コロナウイルス感染防止のためソーシャル・ディスタンス(社会的距離)の確保が求められる中、視覚障害者の生活が県内でも厳しさを増している。患者との接触が欠かせないマッサージ、はり・きゅうの仕事が減少。外出時に同行するヘルパーの援護も受けづらい状況になっている。「歩いていて声を掛けられる機会が減った」との声もあり、先行きに不安を抱える人は多い。
 「この仕事は『触れてなんぼ』だけど、できる限り対策したい」―。視覚障害者の自立に向け、より効果がある施術法などを教える静岡市駿河区の静岡医療福祉センター「ライトホーム」。指導員の梅原慈香さんは、患者と密に接触する業務の難しさを語った。
 マッサージ、はり・きゅう業は医療施設の一環として、県の休業要請から外れた。しかし、感染予防などを理由に多くの業者で患者が減少。ライトホームでも4月以降、前年比約3割減が続く。梅原さんは「感染の不安感が続くことが心配。正しく病気を怖がるための分かりやすい基準がほしい」と訴える。
 買い物や通院の際に視覚障害者の“目”となって導くガイドヘルパーの同行援護も、一部で利用しにくくなっている。県視覚障害者協会の須藤正起会長によると、利用者がヘルパーの腕などを持って誘導されるため距離が保てず、県内でも4月ごろから「事業所に派遣を断られた」などの相談があるという。
 熱海市で治療院を営む菊池一郎さん(51)も同行援護で外出していたが、感染拡大後は「月1、2回しか使えず、依頼自体も遠慮してしまう」。外出自粛の影響もあり、以前より外で声を掛けられなくなったことも危惧する。「本当に困った時に手を差し伸べてもらえないかもしれない」
 国連障害者権利委員会副委員長の石川准県立大教授は「今は人が直接触れ合うことが難しく、視覚障害者は特に生きづらい状況」と強調。須藤会長が理事を務める日本視覚障害者団体連合では国に対し、マッサージ、はり・きゅう業の所得補償や同行援護の支援拡充などを求めている。

 <メモ>県障害福祉課によると、視力や視野に障害があり、県内で障害者手帳を交付されている人は2019年3月末現在、7752人いる。同行援護は障害者総合支援法に基づく制度で、養成研修を修了したガイドヘルパーが視覚障害者の要望を受けて外出に連れ添い、移動支援や代筆、代読などを行う。厚生労働省の社会福祉施設等調査によると、県内では18年9月時点で641人が利用していると推計される。

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