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「無関心で命の危機に」国境なき医師団日本、加藤氏が会長職退任

(2020/3/25 13:30)
人道支援への思いを語る加藤寛幸氏=23日、静岡市葵区
人道支援への思いを語る加藤寛幸氏=23日、静岡市葵区

 国境なき医師団(MSF)日本はこのほど、加藤寛幸氏(54)=静岡市葵区=が24日付で会長職を退き、後任に久留宮隆氏(61)が就くと発表した。加藤氏は2015年から会長を務め、アフガニスタンの小児医療を支えたり、バングラデシュでイスラム教徒少数民族ロヒンギャの支援に当たったりしたほか、国内では熊本地震の緊急援助活動を行うなどした。退任に際し、人道支援への思いを聞いた。

 ―5年間を振り返って。
 「エボラ出血熱の流行や過激派組織『イスラム国』の台頭、米軍による病院誤爆もあり、世界情勢は不安定だった。印象的だったのはロヒンギャ迫害問題。大規模な殺りくや暴力が行われているのに、国際社会は当初干渉しなかった。自国の利益を優先する各国にとって、70万人以上が命の危機にひんしていていることは取るに足らない出来事だったのか」
 ―組織の変化は。
 「日本組織はスタッフや活動資金となる寄付が増え、対外的な責任も大きくなってきた。各地のMSFの連絡調整機能は欧州に集中しているが、新型コロナウイルスの流行によって活動を制限せざるを得ない事態も予想される。国際組織としての在り方を見直し、支援を待つ人たちに確実に手を差し伸べられるようにしなくてはいけない」
 ―小中学校で出張授業を始めた。
 「日本では人道支援はいまだに特別視されているが、本来は誰もができる範囲で行動を起こさなければいけない。子どもたちに考える機会を持ってもらうことで、日本社会に何か変化をもたらすことができれば」
 ―人道支援の在り方とは。
 「中立、公平の立場を貫き、どんな命も救うことがわれわれの使命。しかし、テロ対策などの名目で攻撃対象になることもあった。今後も一会員として現地に赴き、一人一人の無関心によって、苦境に追い込まれたり命を落としたりする人がいるということを伝えていきたい」

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