静岡新聞NEWS

ヤングケアラー 夢を諦めないで 浜松市、支援態勢を検討

(2020/1/21 20:00)
重症心身障害児の妹を世話していた小学生時代の沖侑香里さん(左)=2000年5月(提供写真)
重症心身障害児の妹を世話していた小学生時代の沖侑香里さん(左)=2000年5月(提供写真)
ヤングケアラーに該当する子どもの例
ヤングケアラーに該当する子どもの例

 障害や病気のある家族の介護など、家庭で過度な役割を担っている18歳未満の子どもへの支援の在り方の検討が全国の自治体で始まっている。「ヤングケアラー」と呼ばれる子どもで、勉強や部活動に打ち込めず、将来の夢や進路が制約される恐れがある。浜松市は2019年度からヤングケアラー経験者と面談し、実態把握と支援態勢の検討を始めた。
 「本来なら学業に専念できる年齢だった。進路を狭められたのが悲しい」。同市の病院事務員の女性(24)は高校1年から大学2年まで、在宅がん患者だった祖父と認知症の祖母を介護した。母は祖父母と折り合いが悪く、ヘルパーを頼むことも嫌がったため、「自分が世話するしかなかった」と言う。
 祖父は数時間おきの体位変換、祖母は徘徊(はいかい)防止のため見守りが必要だった。高校で入った吹奏楽部は介護と両立が難しく、2年生の途中で退部。遅刻や欠席が増え、担任教諭に相談しても「そんなの親にやってもらえばいい」と理解を得られなかった。
 県外の国立大に合格したが、介護のため市内の私立大に進学した。社会人になってヤングケアラーの交流会に参加し始め、「自分のような子が増えないように」と体験を講演で語るようになった。
 富士市の会社員沖侑香里さん(29)は小学生のころから、重症心身障害児の妹を世話した。共働き家庭で「母が大変そうだった」ため、妹の経管栄養のチューブをつなぎ、たん吸引なども手伝った。
 「手伝わないとお母さんはもっと大変になる。私が大変なんて言えなかった」と沖さん。妹は17年に亡くなったが、他人を優先して自分の意思を後回しにしてしまう自分の姿勢に長年悩んだ。「子どもからSOSを発するのは難しい。『助けを求めていいんだよ』と言ってくれる人が身近にいることが大事」と強調する。

 ■見えない実態、把握難しく 
 ヤングケアラーは該当者が表に見えにくく、実態把握が難しい。大阪歯科大の浜島淑恵准教授らが2016年、大阪府の公立高10校を対象に行った調査では生徒の5.2%が家族を介護していた。17年の総務省統計では家族を介護している15~29歳は21万人に上る。
 現状に詳しい成蹊大の渋谷智子准教授は「ケアを担う子どもは『かわいそうと思われたくない』、保護者は『外部に知られたくない』と不安を抱いている場合がある」と説明。学校ができることは子どもへの声掛けを通じた気遣いや学習支援、相談、外部連携であると指摘する。
 浜松市は19年度、ケアラー経験者から体験談を聞き取り、教育・福祉の関係機関でつくる市若者支援地域協議会に報告。各機関の連携による支援の在り方の検討に着手した。

静岡医療・健康・福祉の記事一覧

ニュースアクセスランキング

  • 読み込み中です・・・
静岡新聞データベース

SBSテレビチャンネル

YouTube
こどもみらいプロジェクト「おやこアットエス」
静岡新聞SBSスクープ投稿
静岡新聞モバイルサイト