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看護師、疲弊と葛藤 やりがいあれど「辞めたいと思う」77%

(2019/5/19 07:37)
多忙を極める現場。それでも看護師たちは前向きに取り組む=15日、静岡県西部
多忙を極める現場。それでも看護師たちは前向きに取り組む=15日、静岡県西部
静岡県内看護師アンケート
静岡県内看護師アンケート

 「仕事はやりがいがあるが、きつくて辞めたいと思うこともある」―。静岡県看護連絡会がこのほどまとめたアンケートで、県内の看護師の多くが過酷な労働環境を理由に複雑な思いを抱えながら働く実態が明らかになった。背景には、高齢化による入院患者の増加と人手不足がさらなる負担を招く悪循環がある。働き方改革が問われる中、命を守る現場は葛藤に揺れている。
 「休みは寝て終わりという日もある」。県西部にある医療機関の周産期部門で働く阿部真子さん(29)はそう明かす。深夜0時ごろまでの準夜勤と深夜0時からの夜勤は多い時で月に計10回以上。日勤で午後5時に退勤した7時間後に再び出勤するケースもある。
 プライベートの予定を立てるのもひと苦労。だが自身を支えるのは「この仕事が好きだから」との思い。3年前には助産師の資格も取得し、前向きに取り組んでいる。
 アンケートは2018年度に実施した。県内の看護師など4380人が回答し、75%が「仕事にやりがいを感じる」とした一方、「辞めたいと思う」も77%に上った。
 看護師の夜勤は看護職員確保法が月8回以内の推進を明記しているが、現実は阿部さんのような事例が常態化している。同じ病院の鈴木潤子さん(44)は子育て中に夜勤に追われた経験を持つ。子どもが小学校に上がるまでの5年間、夜勤当日は実家に預けて職場に向かう生活を続けた。日勤のみの勤務形態になったのは30代後半になってからだ。
 それでも阿部さんと鈴木さんは「私たちは恵まれている方」と声をそろえる。この医療機関は600人以上が在籍し勤務希望が比較的かないやすい上、労働時間を8時間で区切る1日3交代制を採用しているためという。2交代制は16時間夜勤などが生じる場合があり、2人は「もっときつい状況下で働く人もいるはず」と推し量る。
 静岡自治労連(医療部会・組織担当)特別執行委員の中村恵美子さん(64)は問題解決に採用の大幅増員や待遇改善を挙げた上で、「今後も地道に政治行政に訴えていくしかない」と話した。

 ■8割「人足りていない」
 県看護連絡会のアンケートでは8割が「職場の人数が足りていないと感じる」と回答した。「(自身が)疲れている」とした人は9割を超え、疲弊する看護現場の実情が浮かぶ。
 辞めたいと思った理由は「仕事がきつい」「賃金が安い」がともに2割近くに上った。「思うように休暇が取れない」「夜勤がつらい」もそれぞれ1割強あった。
 一方でやりがいについて「非常にある」(13.5%)、「まあまあある」(61.6%)と前向きな姿勢も目立った。
 アンケートは4380人(男性557人、女性3823人)が答えた。このうち8割に相当する3546人が20代~40代だった。

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