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重症度、AIで自動推定 自閉スペクトラム症 静大、浜医大研究

(2019/4/10 17:00)
ADOSの音声データの書き起こしに取り組む学生ら=2月、浜松市中区の静岡大浜松キャンパス
ADOSの音声データの書き起こしに取り組む学生ら=2月、浜松市中区の静岡大浜松キャンパス

 静岡大情報学部の狩野芳伸准教授の研究室と浜松医科大子どものこころの発達研究センターの土屋賢治特任教授らの研究グループが、人工知能(AI)を活用して自閉スペクトラム症の重症度を自動推定するシステムの構築を進めている。資格を持つ専門家しか実施できない自閉スペクトラム症の診断尺度・重症度評価尺度の一つ「ADOS」の結果を自動推定することで、診断の客観性の向上や標準化が期待される。
 発達障害の一つである自閉スペクトラム症は、発話のタイミングや文法、語彙(ごい)、話す速度などに独特の特徴がある。ADOSは自閉スペクトラム症の疑いがある対象者への診断面接法で、15の課題に対する反応を観察し特定の合計得点が一定の値を超えると自閉スペクトラム症と診断される。得点が高いほど重症度は高くなる。
 研究は、8~55歳の43人を対象に実施したADOSの計約700分の映像記録から音声データを文字で書き起こし、言葉の詰まりや中断、聞き取れない言語音、笑いなどの情報を追記した。作成したデータを用いてAIがADOS得点を予測すると、専門家による診断と同程度の結果が得られ、発話が多く含まれる三つの課題だけでも得点を予測できることが示された。
 多様な指示語を適切に使う場合や笑いが多いほど重症度は低く、不明瞭語が多いと重症度が高いなど重症度の特定に有効な特徴も分かった。
 グループは、2月に米国で開かれた世界最高峰の米国人工知能学会(AAAI)で研究成果を中間報告した。システムの性能向上に向けて、今後さらにデータ数を増やす。土屋特任教授は研究の意義について「自動化が実現すれば、誰もが早期に適切な支援を受ける機会が得られる」と語る。

 <メモ>自閉スペクトラム症は、強いこだわりがあり対人関係を築くのが苦手などの特徴を持つ。脳機能の障害が原因とされるが、詳しいメカニズムは分かっていない。有病率は100人に2~3人と推定。根本的な治療法は確立されていないが、早期の発見、療育・支援が重要とされる。診断方法はADOSのほか、自閉症の疑いがある対象者の養育者を被面接者とする診断面接法「ADI-R」や医師による臨床診断がある。浜松医科大子どものこころの発達研究センターの土屋特任教授によると、幼児を診療する医療機関は少なく、専門医も不足している。初診が1、2年待ちという医療機関もあるという。

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