新「遺品館」1階展示 静岡県護国神社、高齢者利用しやすく

 静岡県護国神社(静岡市葵区)の境内に移転新築された遺品館の展示作業がこのほど、完了した。旧遺品館は社務所がある建物の2階に入っていたが、新館は高齢者らが来館しやすいように展示スペースを1階に設けた。新たに戦没者約1500人分の遺影も掲げた。

戦没者の遺影が並ぶ新たな遺品館の展示スペース=静岡市葵区の静岡県護国神社
戦没者の遺影が並ぶ新たな遺品館の展示スペース=静岡市葵区の静岡県護国神社

 遺品館の移転新築は同神社と県遺族会などの戦後70年記念事業の一環。鉄骨造りの一部2階建てで、延べ床面積は約340平方メートル。遺品館のほか、収蔵庫や同会事務局が入る。費用約1億円の多くを寄付で賄ったという。
 当初は2018年春の完成を計画していたが、寄付の募集期間延長などで着工を遅らせたため、19年秋になった。20年4月に開館したが、6月下旬まで展示作業を続けていた。
 展示スペースは旧館より小さくなり、展示物は家族に充てた戦没者の遺書や手紙を中心に、軍服や寄せ書きされた日章旗などを厳選した。壁には若くして命を落とした戦没者の遺影がずらりと並ぶ。
 旧館当時は、階段をためらって見学を諦めるお年寄りもいたという。「(移転新築で展示スペースが)1階になったので多くの人に来ていただきたい」と権禰宜(ごんねぎ)の藤野高宏さん(31)。県遺族会の杉山英夫会長(82)は「展示を工夫しながら、戦没者をいつまでも忘れない場所になれば」と話す。(社会部・佐藤章弘)

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