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<自動車用木製部品製造>牧田竹スキー製作所(静岡市清水区)

(2019/6/3 11:00)
ハンドルの曲面に突板を貼る牧田辰己さん
ハンドルの曲面に突板を貼る牧田辰己さん
カッター、マスキングテープ
カッター、マスキングテープ

 依頼は幅広い。ハンドルだけでなく、ハンドルの一部や灰皿のパーツ、ホーンパッド。内装全てを任されることもある。自動車用木製部品の製造・修理を専門とする静岡市清水区の牧田竹スキー製作所。牧田辰己さん(65)が1人で、全国の愛好家のこだわりに応えている。
 社名の通り、かつては竹スキーを製造した。5月11日に亡くなった父定男さん=享年(97)=が、家業の竹材販売の延長としてさまざまな加工に挑んできた。竹はばねがきき、衝撃に強い。特性を生かしてバットを作った。近隣の高校でも練習に使われるようになり、最盛期には一月に1万5千本を出荷した。
 バットの傍らで製造を始めたのが竹スキー。富士山で試験滑走を重ね、夏場はスキー場のインストラクターが製造に携わった。評判は海を渡り、「米国のナショナルチームから依頼があったことは父の自慢だった」。その後、アーチェリーやスケートボードにも挑戦した。
 木製ハンドルの製造は昭和50年代に入ってから。微妙な曲がりが鍵を握るスポーツ用品を作ってきた実績が買われ、大手自動車メーカーから依頼があった。海外向けの高級車のハンドル。直射日光によって高温になる車内環境を研究し、完成すると、続々と注文が舞い込んだ。
 強みは、薄い板材「突き板」を曲面に貼る技術と磨きだ。他の部品にも合うよう選んだ木目は唯一無二で、失敗は許されない。木の伸縮性を生かし、アイロンを細かく動かして突き板を貼っていく。磨きは機械の後、目の違うサンドペーパーを使い分けて、しっとりと手になじむよう仕上げる。「この工程ばかりは自分でやるしかない」。神経を集中させる。
 注文を受ける部品のほとんどが国内外の高級車か旧車用で、「できるか不安な時もある」。海外のカタログなどを参考に、使う木材の提案をするのも仕事だ。海外では、玉杢[たまもく]と呼ばれる、こぶをスライスした個性的な木材がぜいたくに使われるという。工場には辰己さんが「いつか」と思って仕入れた突き板が出番を待つ。技術を生かした挑戦はこれからも続く。

 ■コレがなくっちゃ
 カッター、マスキングテープ
 量産していた時代とは違い、現在はほぼオーダーメード。カッターやはさみで余分な木材を切ったり、マスキングテープを使って接着剤や塗料を付ける位置を区切ったりと、手作業での微調整が欠かせない。

 ■ドンナトコ コンナトコ
 現在の工場から約3キロ離れた実家の「牧田竹材」で竹バットの製作が始まったのは1948年。牧田辰己さんの父定男さんが独立して、59年に牧田竹スキー製作所を開業した。
 長く全国から注文が寄せられる理由の一つは、取引先との共同作業にあるという。天然木の風合いを生かした突き板は静岡市駿河区の木材加工メーカー「きんぱら」で仕入れ、革張りは富士市の革製品加工「三秀産業」に依頼する。「技術やセンスが素晴らしい地元の会社のおかげで仕事ができる」と辰己さん。
 主に輸出用のハート型のハンドルなど、オリジナル商品の製造にも取り組んでいる。

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