静岡県立大発 まんが しずおかのDNA(11)医師少数県

 厚生労働省が2016年に発表した人口10万人に対する医師の数は、全国平均2401人に対し静岡県は200・8人(全国40位)と平均を大きく下回っており、全国で16県の「医師少数県」に位置付けられた。

漫画・かとうひな
漫画・かとうひな

 医師不足を抜本的に解決するために、本県が全国に先駆けて設置した「ふじのくに地域医療支援センター」が中心となり、本県で働く医師を養成するための仮想大学「ふじのくにバーチャルメディカルカレッジ」(学長:ノーベル賞受賞者、本庶佑前県立大理事長)を新たに創立した。
 しかしながら、医学生を一人前の医師にするには時間がかかるため、現状の医師の偏在やマンパワー不足を打開するためには、急性期医療や地域包括ケアにおいて「多職種連携」が重要になってくる。多職種連携とは、医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供することである。
 医療職養成機関において多職種連携教育の重要性は強調されていたものの、実際の教育内容は単職種を対象とした縦割り教育がほとんどで、連携・協働する能力を身に付けるためのトレーニングは行われていなかった。そのため、専門職として現場に出てからいきなり連携・協働を実践しようとしても、上手くいかないのが現状である。多職種連携を実践する能力は、学生の時から培うべきものである。すなわち、医療職を養成する大学の果たす役割は極めて重要である。
 県立大では、1年生を対象とした全学共通科目「しずおかの健康長寿を支える取り組みと人々」や高学年を対象とした「多学部横断連携演習科目」を開講し、多職種連携教育を行っている。このように本学では、個々の患者に合ったケアができる能力を身に付け、病院だけでなく、地域における包括的なケアの課題の解決に向けて、多職種連携を円滑に行える人材の育成教育に力を入れている。 (森本達也 薬学部教授、医師、循環器内科学)
 静岡県立大の執筆陣が文理の枠を超え、漫画を使って静岡のDNA(文化・風土)を科学的に解き明かす(静岡新聞月曜朝刊「科学面」掲載)。

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