静岡県立大発 まんが しずおかのDNA(1)静岡の大地

 静岡県には、地球を覆う大陸プレートの中でも最大級の二大プレートが出合い押し合っている場所がある。糸魚川-静岡構造線である。ほぼ南北に走るその構造線の東側に、フォッサマグナと呼ばれる地域がある。

漫画・かとうひな
漫画・かとうひな

 日本列島は、今から1600万年前、ユーラシアプレートの東端から別れた。日本海の拡大によって今の位置に来た後、東北日本と西南日本が東西に離れて、東北日本は海に沈んで多島海のような景色となり、分厚い堆積層が発達した。その後、太平洋プレートに押されて二つは接近し、東北日本の海の堆積層を圧縮して押し上げた。それが今のフォッサマグナ地域の山地である。
 一度海底に沈んでいた東北日本が、圧縮力で西南日本に衝突し、激しく隆起して山岳地帯を生み出した後、南から火山諸島が海洋プレートに運ばれて移動してきた。これらが100万年から60万年前に本州に衝突し、今の伊豆半島となって新しい本州弧の一部となった。伊豆半島ユネスコ世界ジオパークのキャッチフレーズは、「南から来た火山の贈りもの」である。
 山岳地帯であるフォッサマグナの中央部には、南北に活火山が並ぶ。新潟焼山[にいがたやけやま]、妙高山、草津白根山、浅間山、八ケ岳、富士山、箱根山などである。マグマは地下約100キロで生まれるが、地下の割れ目を通って上昇し、地表から深さ10キロの辺りにマグマ溜[だま]りを作っている。フォッサマグナの北方への延長は、新潟から山形、秋田県のすぐ沖を北へとつながっている。
 中部山岳地帯の南の端は静岡市と焼津市の間にある大崩海岸、北の端は糸魚川市の親不知海岸である。波と風の浸食で、いずれも切り立った崖からいきなり海底に落ち込む地形となっていて、昔から交通の難所であった。今では、鉄道や道路のトンネルが何本も抜けていて、それを通過している人には、あまり難所の認識がない。それでも大雨が降ると崩れて道がふさがれる。難所を体験してみたい方は崖に沿って道があるが、よく崩れるので注意が必要である。 (尾池和夫 静岡県立大理事長・地球科学)  ◆--◆--◆
 静岡県立大の執筆陣が文理の枠を超え、漫画を使って静岡のDNA(文化・風土)を科学的に解き明かす(静岡新聞月曜朝刊「科学面」掲載)。

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