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静岡社会健康医学大学院大、展望は… 学長予定者・宮地氏に聞く

(2020/10/30 12:15)
静岡社会健康医学大学院大での人材育成や研究の展望を語る学長予定者の宮地良樹京都大名誉教授=28日、静岡市葵区
静岡社会健康医学大学院大での人材育成や研究の展望を語る学長予定者の宮地良樹京都大名誉教授=28日、静岡市葵区

 健康寿命の延伸に向けた研究や人材育成の拠点として、静岡県が設置を目指していた静岡社会健康医学大学院大が2021年4月、静岡市葵区に開学することが正式に決定した。学長予定者で県立総合病院参与兼リサーチサポートセンター長の宮地良樹京都大名誉教授(68)に、大学院大が担う役割や今後の展望を聞いた。

 ―社会健康医学に特化した大学院大開設の背景は。
 「静岡県は全国有数の長寿県だが、平均寿命が伸びる一方、医療・介護に依存せず生活できる期間を示す『健康寿命』との差があまり縮まっていない。県も健康増進施策に取り組んできたが、新たに社会健康医学に基づくアプローチをするため大学院大の設置に至った。本県には医師を含む医療専門職の不足という課題もある。第一線の医療現場にいる人材が働きながら専門的な研究ができる環境はモチベーションの向上や県内での定着につながる」
 ―病気の治療ではなく、予防や健康づくりに取り組む社会健康医学の意義は。
 「医学には基礎医学と臨床医学、社会医学(社会健康医学)の3本柱がある。日本の医学は基礎研究では欧米と肩を並べているが、臨床研究は不得手とされる。その要因の一つには統計学や疫学、公衆衛生学を領域とする社会医学への意識の低さがあった。00年に京都大が日本で初めて社会健康医学の大学院を設け、全国でも徐々に設置が増えている。新型コロナウイルスの対策では、緊急事態宣言など社会的な対応の背景として疫学や公衆衛生学の知見が必要となり、一般の人も重要性を感じるタイミングになったのでは。社会医学に対する意識の変化は、欧米との差を埋める一歩にもなる」
 ―学生募集の本格化に向けた感触は。
 「夏ごろから県内の病院や大学を回り、開学の趣旨を説明してきた。どの病院にも関心を持つ人がいて説明会にも想定以上の参加があり、熱意を感じる。医師に限らず看護師や薬剤師など多職種が集まる大学院大で専門性を高め、修了後に元の職場で指導力を発揮してレベル向上に貢献できる人材を育成する」
 -今後の展望を。
 「現在、整備中の校舎では、オンライン授業に対応するなど学びやすい環境づくりを進めている。開学後は県立の大学院大として本県を研究のフィールドにしつつ、行政への効率的な施策の提言などを通じて成果を地域に還元していく」

 みやち・よしき 静岡市出身。専門は皮膚科。京都大教授、滋賀県立総合病院総長を経て18年4月から現職。

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