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遠ざかる学校…下校手段いかに 山間地の小中校統廃合進む森町

(2020/6/10 18:50)
美倉地区と森中・森小をつなぐバス路線図
美倉地区と森中・森小をつなぐバス路線図
NPOが運行する路線バスで通学する生徒=4月上旬、森町
NPOが運行する路線バスで通学する生徒=4月上旬、森町

 森町は来年3月末までに、在校生の減少が顕著な山間地の小中学校の統廃合を進める。少子化に対応するための学校の適正配置を目的としているが、課題に児童生徒の通学手段が指摘されている。統合先の学校は遠方にあり、保護者からは通学にかかる負担増や、道中の安全性を懸念する声が上がる。町は住民団体などと連携し解決に取り組むが、児童生徒の安全確保を第一に考える必要がある。
 町では来年3月末に三倉、天方、森の3小学校の統合が控えている。先月27日に町や学校、地域住民などで構成する統合準備委員会の第1回会合が開かれ、通学手段をはじめ統合に向けた具体的な話し合いが始まった。町は会合で、三倉地区で路線バスを自主運行しているNPO法人「やまゆり三倉」に協力を要請し、登校時は森小までの直通路線を設け、下校時には民間の路線バスとNPOのバスを乗り継ぐとの案を示した。NPOも前向きに捉えていて、実現は可能という。
 住民からは登校手段を評価する声が出ている一方、下校手段には依然課題を残す。学年ごとに帰宅時間が違い、バスが到着するまでの待機時間が生じるためだ。低学年には乗り継ぎが難しいのではとの指摘もある。今のところ、児童の負担軽減につながる案は出ていない。

 ■帰宅時間に差
 今年3月、三倉、天方地区を校区とする泉陽中が森中と統合した。町の最北端の三倉地区は自宅から学校まで10キロ以上離れている生徒が大半で、登下校にかかる時間は片道20~40分。同地区から森中の周辺地域をつなぐ民間路線バスが運行しているものの、地域によってはバスが自宅近くを通過しない。このため統合前の泉陽中への通学時から、バス停まで保護者が送迎せざるを得なかったという。
 統合前に保護者ら地域住民が動いた。民間バスを利用する通学では、バス停から自宅までの徒歩区間などで「安全確保が不十分」として、町や議会に専用スクールバスの導入、自宅付近までの直通運行など8項目を求めて要望書や陳情書を2月に提出。中学校の統合準備委員会の会議でも再三同様の提言を行ってきた。

 ■バス路線延伸
 こうした声を受け、以前から通学手段の検討を進めてきた町は、当初想定していた民間バスを利用するとの方針を転換。やまゆり三倉が同地区の北東に位置する下島から町森林組合までで運行していた「大河内線」のルートを、中学生限定で森中付近まで延伸。バス停がなかった北西部の田能、大久保、中野地域を運行する「夢街道線」も新設し、放課後以降のバスも増便するなどの対応を進めた。要望活動などを続けてきた保護者の女性(41)は、町の対応について「今までの保護者や子どもの負担を考えれば楽になり、安心感もある。(町が)歩み寄ってくれたという印象」と評価し、同地区に住む中学生からも前向きな意見が多く聞かれるという。
 児童の下校手段に関する妙案は見えてこないが、町は学校の統廃合は進める方針だ。今後も保護者らとの継続的な話し合いの場を設け、中学校統合時に見いだしたような改善策を模索する。議論を担う町教育委員会の担当者は「統合まで時間は限られるが、住民の要望も聞きながら両者が納得できる答えを出したい」と強調する。

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