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休校で語り部招けず…戦禍学ぶ場、コロナ阻む 静岡県内

(2020/5/25 08:00)
祖父母から戦争体験について聞く大庭結花さん(中央)=4月末、浜松市東区
祖父母から戦争体験について聞く大庭結花さん(中央)=4月末、浜松市東区

 新型コロナウイルスの感染拡大が、太平洋戦争の悲惨さを語り継ぐ場にも影響を及ぼしている。1945年4月から8月の空襲などで多くの生徒が犠牲になった浜松市などの学校では、戦後75年の今年もこの時期に合わせて慰霊行事や平和学習が予定されていたが、休校期間が長引き戦禍を学ぶ機会の縮小を余儀なくされている。
 4月30日と5月19日の空襲で生徒29人と教員1人が命を落とした浜松市中区の西遠女子学園。毎年5月に殉難学徒慰霊式を開催し、式に合わせて中学1年から高校3年の全校生徒が平和をテーマに作文を書いている。
 中でも、中学1年生は戦争体験者への取材が恒例。昨年までは学校に戦争体験者を招くなどして生徒全員が話を聞ける機会を設けてきた。だが、今年はコロナ禍でかなわず、親族などから聞き取りができたのは1年生の約3割にとどまった。
 大庭結花さん(12)=同市東区=は4月下旬、祖父母から戦争体験を聞いた。米軍機の機銃掃射に身を伏せ、命からがら逃げた祖母の話や、終戦直後に自分の荷物が持てないほど痩せ細った体を引きずり、海軍兵学校から浜松に戻った祖父の体験は初めて耳にした。祖父直彦さん(90)から「なんてばかな戦争だったか。絶対に繰り返してはならない」と語り掛けられ、結花さんは「教科書で見て知ったよりも激しく、怖いと感じた」と率直な感想を吐露した。
 今年の同校の慰霊式は延期・縮小して行われる。生徒には、同校ホームページで公開している殉難学徒遺族や卒業生の戦争体験を読むように伝えた。学校関係者は「従来と異なる形でも、私たちが受けた傷を伝えていかなければ」と強調した。
 磐田市の磐田北小や磐田農業高も、5月19日の空襲で犠牲になった児童生徒を悼む慰霊祭を縮小した。同小は5月を「平和月間」と定め、講話や戦争に関する文献を使った平和学習を実施予定だったが、延期した。担当者は「私たちにとって大きな出来事に変わりはない」と、学校再開後の学習機会を探る。

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