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ニワトリを飼育、絞めて調理 松崎高、命の重み学ぶ「生物」授業

(2020/1/20 19:50)
自分たちで飼育したニワトリを部位ごとさばいて調理する生徒ら=2019年12月、県立松崎高
自分たちで飼育したニワトリを部位ごとさばいて調理する生徒ら=2019年12月、県立松崎高

 自分たちで飼育したニワトリをさばいて食べる―。静岡県立松崎高の3年生が「命と食育」をテーマにした生物授業を実践している。ニワトリが成長する過程も観察し、生命の尊さや食べ物の大切さを考えるきっかけにする。
 2019年12月、特進文系コースの生徒13人が校庭に集まった。視線の先にはヒナから育ててきた4羽のニワトリ。植松聖陽教諭(29)が1羽ずつ包丁で首の急所を刺すと、叫び声が響き渡った。その光景を前に涙を流す生徒も。「私たちは動物の命をいただいて食べている。現実を忘れてはいけない」。植松教諭が語り掛けた。
 普通高校の生物授業では動物やヒトの成長のしくみを座学で学ぶのが一般的。飼育したニワトリを食べる授業を同校が始めたのは2年前からで、「命の大切さを理解するには誕生から消費まで一貫して体験することが重要」との狙いを明示している。
 授業ではニワトリの有精卵約40個を取り寄せ、20日間毎日卵を1個ずつ割り、ヒナの目やくちばし、背骨が徐々に形成される過程を観察する。命に触れることを意識し、素手で胴体や羽の感触も確かめ、気付いた点や感想をまとめた。並行してヒトの胎児が子宮の中で成長する様子も学習する。ヒナのふ化に立ち会った稲葉美里さん(18)は「人間や動物の誕生は奇跡に近い」との感想を持った。
 “命の授業”を始めた当初は多くの生徒が興味本位だった。命の成り立ちを間近で観察することで、授業に臨む生徒たちに真剣さが生まれ、自発的に人間の妊娠中絶の是非や食品廃棄問題について議論する場面もあったという。植松教諭は「命と身近な社会問題を関連付けることで当事者意識が生まれるきっかけになった」とみる。
 ニワトリを絞めた後に生徒らが羽を抜き、部位ごとに解体して親子丼や焼き鳥を調理した。ニワトリをさばく際に胴体を抑えた中尾香月さん(18)は、命を無駄にしないことを心掛けるべきだと強調。「当たり前に肉や魚を食べられることに感謝したい」と話した。

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