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量子コンピューターの超高速計算、どう検証 静岡大・尾張研究室

(2019/11/20 17:00)
尾張正樹准教授(中央)の指導を受け、研究を進める学生たち=11月中旬、浜松市中区の静岡大浜松キャンパス
尾張正樹准教授(中央)の指導を受け、研究を進める学生たち=11月中旬、浜松市中区の静岡大浜松キャンパス

 超高速計算が可能な量子コンピューター(QC)。米グーグルがこのほど開発を発表したが、QCの計算結果の検証はスーパーコンピューターでも困難とされる。そんな中、静岡大情報学部の尾張正樹准教授(40)の研究室は京都大などと共同で、QCがどれだけ正しい計算ができたか性能を評価する手法を確立しようと研究を進めている。重要な情報をやりとりする「暗号通信」などの装置開発に役立つといい、来夏の論文投稿を目指す。
 QCは物理法則の特殊な現象を応用したコンピューターで、従来型と比べて数十億から100兆倍の速さで計算問題を解けるとされる。創薬や都市の渋滞解消、暗号破りとその防御などで技術革新が見込まれる。
 尾張准教授らは研究に人工知能(AI)の技術の核となる「機械学習」を取り入れている。QCに組み込まれる「量子回路」に元となる数値を入れ、計算されて出力された別の数値から回路の性能を探る。約1センチ四方のチップに組まれる量子回路は少しの温度変化にも弱い仕組みなため、現状は配線に生じる熱などで計算結果に誤差が出るが、欲しい答えをスパコンより非常に早く計算することはできる。尾張准教授らの研究で、対象となるQCの性能が評価できれば、実用的な装置を開発するときの計画が立てやすくなる。
 尾張研究室に所属する学生たちのうち、同学部4年藤井真博さん(21)はこれまで約1億5千万通りの異なる量子回路についてデータ分析を担当。静大大学院で研究を続ける予定で「量子技術が実用化されたとき、先駆的な役割を担えるようになりたい」と励む。
 尾張准教授はQCについて「開発そのものは予算規模などで米中に勝つのは難しいだろう」と指摘。「周辺技術など日本にも勝機がある分野で地方大学からでも貢献できることを示したい」と話す。

 <メモ>量子コンピューター(QC) 量子力学の理論を応用した次世代型の計算機。従来型コンピューターが1ビット(情報の単位)あたりの情報を「0」か「1」かで表現してそれぞれ計算するのに対し、QCは「0でもあり1でもある」という状態を作り出して同時に計算する。計算回数を減らすことで速度も上昇させられる。グーグルはスーパーコンピューターで計算に約1万年を要する問題を、開発したQCを使って3分20秒で解いたと英科学誌ネイチャーに論文を掲載して発表した。

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