スズキ、鈴木修会長退任「人生は挑戦」 ユーモア交え電撃発表

 電撃的な退任発表だった。スズキの鈴木修会長(91)が24日、6月での会長退任と相談役就任の方針を示した。1978年以降経営の第一線を走り続け、「軽のスズキ」を世界的なメーカーに押し上げた立役者。「相談役になっても人生は挑戦」。同日のオンライン会見で、鈴木会長は時折笑顔を浮かべながら、ユーモアを交えたいつもの「修節」を披露した。

インドでの四輪生産が年間初の100万台を突破し、セレモニーに臨む鈴木修会長(中央右)=2010年3月
インドでの四輪生産が年間初の100万台を突破し、セレモニーに臨む鈴木修会長(中央右)=2010年3月
スズキ創立100年史と鈴木修氏
スズキ創立100年史と鈴木修氏
インドでの四輪生産が年間初の100万台を突破し、セレモニーに臨む鈴木修会長(中央右)=2010年3月
スズキ創立100年史と鈴木修氏

 昨年3月で創立100周年を迎え、同日発表した新中期経営計画の完成が節目になった。「電動化と品質向上策をしっかり進める長期方針が決まった。納得して辞める」ときっぱり。「前進」「挑戦」の大号令を社内に掛け続けたカリスマ経営者は、長男の鈴木俊宏社長(61)に「歩け、歩け。行動力を持って発見すれば次のマーケット(市場)はある」と声を掛けた。
 会見で経営トップとしての思い出を問われ、「40年もやっているからたくさんある。一つだけなんて言えない」と答えた。かねて「生涯現役」を公言していただけに、「(会長を退任しても)相談役として中期経営計画をチェックし、挑戦を続ける」と話した。
 会見の最後、右手を軽く挙げて「バイバイ」と2回繰り返し、ちゃめっ気たっぷりに締めくくった。

 ■浜松の関係者 スポーツや文化貢献評価
 長年にわたり、強いリーダーシップで自社と地域経済をけん引したスズキの鈴木修会長が突然の退任を発表した24日、地元の浜松市に衝撃が広がった。経済、政治に加え、スポーツや文化など幅広い分野での貢献をたたえる声が多く聞かれる一方、新しい浜松市のスタートと位置づける声も上がった。
 浜松商工会議所の大須賀正孝会頭(79)は「ニュースを見て本当に驚いたが、このタイミングでの退任が最適と判断したのではないか」と話した。浜松いわた信用金庫の御室健一郎理事長(75)は「何か問題が起きたとき、真正面から向き合う強い意志と経営者としての迫力を随所で感じた。トップのあるべき姿を学ばせていただいた」と振り返った。
 スズキ陸上部元主将で、スポーツマネジメント会社の代表を務める中川智博さん(39)は「スポーツへの理解が深く、多大な貢献をされた。会長の精神は今後も受け継がれていくと思う」と感謝した。
 歯に衣(きぬ)着せぬ言動で政治や選挙にも積極的に関わった鈴木会長。鈴木富士男元浜松商議所会頭(88)は「政治など多方面に意見を言える浜松の経済人として貴重な存在」と評価する。
 一方で、影響力のあまりの大きさに「商議所会頭人事などにも介入していた。誰も意見を言えない存在」(経済団体関係者)との見方も。市内の70代の自営業男性は「地域は市民でつくり上げるもの。これからは若い世代の活躍も期待したい」と語った。

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