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浜名湖アサリ新回復策 2021年度、人工生産種苗開始へ

(2021/1/22 11:00)
アサリの生態
アサリの生態
浜名湖のアサリ漁獲量
浜名湖のアサリ漁獲量

 浜名湖特産のアサリの深刻な不漁を受け、静岡県水産・海洋技術研究所は21日までに、新たな対策として2021年度に人工生産種苗を始める方針を決めた。浜名湖の環境に適した種苗方法の研究、開発を進める。将来的には人工ふ化させたアサリを放流し、湖内で成貝に育てて資源回復を目指す。
 浜名漁協(浜松市西区)と取り組んでいるアサリの資源回復策はこれまで、稚貝の移植や漁獲制限、食害から守る保護網の設置など自然環境下での対策だった。今後は養殖技術の人工種苗を組み合わせ、相乗効果を狙う。
 汽水湖の浜名湖では近年、水温や塩分濃度の上昇、生態系を支える海草の激減などさまざまな環境変化が発生。不漁の原因は特定されていないが、アサリの餌となる植物プランクトンの減少も一因とみられている。
 原因解明に向けて県は20年度から、アサリの生息状況や湖の水質変化などの調査を始めた。調査結果を踏まえ、湖内の最適な成育場所や産卵時期を探り、人工種苗の放流にも役立てる。
 アサリの激減は全国主産地の共通課題で、養殖技術の開発は各地で進んでいる。外来種を利用すると、病気や寄生虫が広がる恐れがあり、県は浜名湖に生息するアサリを使って増殖を図る。アサリの成育状況は生息場所によって異なり、浜名湖ではふ化してから1年前後で殻の長さ2センチ以上の成貝に育つ。

 ■2020年の漁獲量 過去最低707トン
 アサリは浜名湖最大の水産資源だが、水揚げは低迷している。2020年の漁獲量は前年を18・9%下回る707トンで、2年連続で過去最低を更新した。
 1989(平成元)年以降で最も多かった2009年の6007トンに比べると、11・8%の水準。直接の因果関係は不明だが、県水産・海洋技術研究所浜名湖分場(浜松市西区)の鷲山裕史上席研究員は「6~7月の長雨で浜名湖の塩分濃度が上がった。その後の酷暑で今度は水温が高くなり、産卵期の秋に死んでいる貝が見つかった」と話す。
 漁獲量は5年連続で2千トンを下回り、資源が激減しているとみられる。湖西市の60代の男性漁業者は「なりわいとして成り立たなくなり、出漁しない日が増えている」と打ち明ける。
 不漁の深刻化で、近年は渡船の潮干狩りも開催できず、影響は観光面にも広がっている。

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