安全教育の場 地域に広く 明電舎、沼津の研修施設を開放
(2021/1/14 19:30)-
明電舎沼津事業所(沼津市)に昨年10月開設された技術研修センター「Manabi-ya(学びや)」が、中小企業などの安全教育の場として注目されている。拡張現実(AR)や仮想現実(VR)の技術を導入した安全教育システムを通し、安全教育の推進が難しい中小企業の意識高揚に寄与。社員向けの研修施設を外部に開放するのは珍しい。工業高校などの利用も受け入れたいとし、新たな社会貢献として期待される。
同社の安全教育システムは、はしごの昇降中の転落や溶接作業中の火花による火災、過剰積載したフォークリフトの横転など、現場で想定される14ケースの事故を再現。グループ会社の明電システムソリューションが開発に携わり、VR技術などを活用して実際に自分が危険に遭遇しているかのような疑似体験ができる。
開設時から外部企業の体験希望を受け付け、12月半ばまでの2カ月ほどで想定を上回る200人以上が訪れた。中小企業経営者からは「大手企業は安全教育にここまで力を注いでいるのかと驚いた」「体験させてもらい、自社で社員研修を行う際の勉強になった」との反響が寄せられた。
沼津商工会議所では会報などで施設を紹介し、会員事業所に勧めている。紅野正裕会頭は「地域の産業をけん引する大規模事業所がこうした施設を開放することで、中小企業の安全意識も高まる。社会に貢献するありがたい取り組み」と話す。
研修施設公開は企業価値を高めるメリットがあるという。同社の“本業”はプラント建設や水インフラシステムの構築など一般消費者にはなじみが薄い事業。安全衛生担当者は「体験者を受け入れることで事業内容も理解され、住民に身近に感じてもらいやすくなる。安全教育システムの今後のビジネス展開にもつながる」と語る。
静岡経済の記事一覧
- トップに聞く 松坂屋静岡店・落合功男店長「選ばれる店に」(2021/2/27 15:00)
- 高級ワインやチーズ充実 マムのタカラ・エムシーが新業態 静岡(2021/2/27 09:21)
- 鈴木修会長 電撃退任の波紋(下) 政治への関与、変化は… 選挙の年、「威光」に注目(2021/2/27 08:36)
- 鈴木修会長 電撃退任の波紋(上) スズキ、俊宏社長「チーム経営」へ EV、トヨタ連携正念場(2021/2/27 08:35)
- 建設機械の自律運転 富士で実験、日本版GPSサービス利用(2021/2/26 19:00)
- 静岡鉄道の新社長、川井氏が決意 資産の選択と集中で財務強化(2021/2/26 12:27)
- 春到来、カツオ御前崎港に水揚げ 競りで3トン取引(2021/2/26 11:56)
- 「フードパンダ」浜松に進出 飲食メニュー宅配、静岡県内初(2021/2/26 09:08)
- ベック(静岡市葵区)破産申請へ クラフトビール醸造会社(2021/2/26 08:35)
- 静岡鉄道社長に川井敏行氏 専務から昇格、経営若返り図る(2021/2/25 18:20)